さようなら歌舞伎座(1)

この4月講演を最後に建替えられる東京の歌舞伎座に行ってきました。 幾度かの火災や震災に見舞われ、3期目で岡田信一郎が設計したRC造和風建築も先の大戦の空爆で多大な損傷を受け、それを吉田五十八が修築したのが今の歌舞伎座です。正面のファサードデザインは、当時RC造で和風をいかに表現するのか本当に検討しつくしたデザインでしょうし、やはり歴史と重みを感じる事ができます。 建物の横に廻りますと、その屋根の複雑な重なり合いが見れてこれまた迫力があります。 壊された後は、後方に高層ビルを抱えるガラス面の多い建物になるようです。 確かに内部は舞台・客席はまあ良しとして、ホワイヱや通路がかなり狭く、耐震的にも改修の必要はあると思いますが、なんとかこのファサードだけでも残せなかったのでしょうか。技術的には勿論可能ですし、中央郵便局よりも一般庶民に与える建築の凄みそして、歴史的デザインの継承はあるでしょう。 銀座のこの辺りもほとんど建替えられて、私の好きでした白井晟一設計の親和銀行も既にありません。 街は、古い建物、その時代時代を表す建物が所々に残っているからこそ、歩くのも楽しいし、愛着も湧きます。これからの時代は、改修の時代なわけですから、その先駆になる良いチャンスだったかもしれません。残念です。