ルイス・カーン キンベル美術館(1)

この視察旅行の大きな目的の一つであったアメリカテキサス州フォートワースにあるキンベル美術館です。設計はルイス・カーン。ルイス・カーン設計の建築を見るのは、2作品目。20年以上前にソーク研究所という偉大なる建築を見て、その厳格なる建築の素晴らしさに胸を打たれました。それ以来ずっとこの建築を見たいと思っていまして漸く今回その目的が達成できました。 着いて驚いたのは、魅力的なエントランス空間が今工事に伴い閉鎖していることでした。エントランス廻りの噴水広場や森の入口部分も増築工事に伴い一度解体されていました。残念。 それでも、その素晴らしい空間は充分堪能できました。 普段は裏口にあたる部分が今回エントランスとなっています。裏とは思えない美しいプロポーション。いつも設備の屋外機等の配置で苦労しますが、この建物は、それら設備施設をまとめ、表には全く出てきません。 要は、この建物は裏が無いと言う事で、どこから見ても完璧だと言う事なのです。 形態はシンプルで、かまぼこ型の屋根が横に6列、縦に3列並ぶ配置です。 その中に中庭があり、ホールがあり、レストランがあり、勿論素晴らしい展示スペースがありと、非常に美しい空間が展開されています。 ひとつひとつの塊は、柱・壁・屋根が分節され、それぞれの取り合う部分が非常に美しくまとめられています。この物と物がぶつかるところをデザイン的に重要視しているのです。 かまぼことかまぼこの間のフラットな部分に設備配管がなされています。 エントランスの一つのマッス。普段は左に森が開けます。 屋根と屋根は分節され、そこから光が注ぎ、トラバーチン(石灰岩)の壁面を美しく照らします。コンクリート打放しの面はとても丁寧に施工されていて綺麗な肌に仕上がっています。