景色を楽しむ家

「景色を楽しむ家」の東側には小川が流れ、夏には蛍が楽しめます。
また北側は、小高い山が連なり、緑豊かな環境にあります。
敷地の東南の角には大きな落葉樹があり、その木は切らずにこの家のシンボルツリーとしました。

「景色を楽しむ家」と「広い縁側のある家」は、同時に計画されたので、2棟が連なり街に対しても一つの繋がった顔を形成できます。
外壁にはウエスタンレッドシダーを張りました。「広い縁側のある家」にも1階周りを同じ木張りとすることで、近隣の人達にとって優しくそして印象に残るものにしたいと考えました。

開口部には木製サッシを使用し、自然素材を用いた、経年変化も楽しめる建物としています。
道路側は、2棟連続の駐車場として、建物を道路から離し、圧迫感を和らげると共に、共用の駐車スペースとしての役割も持たせました。

2つの建物の道路側(北側)外観
建物と建物の間は、どうしても設備機器などのデッドスペースになりがちですが、2棟同時設計としたため、この間の空間をお互いの中庭として有効に使えるようにしました。

建物の階高や、屋根の軒高さを合わせ、窓の高さや形状も似たものにすることで、街並みとしての統一感をもたせました。
建物の一番左側がエントランス。この部分には庇が回りこみ、人を迎え入れます。

玄関までのアプローチは、敷地の東の端部分からシンボルツリーを見ながら進みます。
建物の木の外壁そして新たに設けた木の塀に沿いながら進んでいきます。
アプローチは建築を設計する際最も重要な部位で、外と内を緩やかに繋ぎ気持ちを入替える場と考えます。
外界から遮断され木で囲まれたこのアプローチを歩む時、心が自然に穏やかになります。
玄関扉は、外壁と同じ木を貼ったもので、ドアの取っ手が玄関扉ということを示唆します。

玄関扉を開けて中に入ると、左手に大きな開口を通してシンボルツリーが見えます。
この部屋は、「着替えルーム」で、両側が収納になっており、ここで外の服を脱ぎ室内着に着替えます。
心がチェンジする場です。
着替えの部屋・スペースをまとめて玄関近くに設ける手法を私はよく使いますが、なかなか便利なもので、ここで着替える行為が全てできますし、気分転換にもなります。自分の部屋に服を持ち込む必要が無いので、個室がコンパクトかつ綺麗に納まります。

玄関ホールの玄関扉にはトップライトから反射した柔らかい光が注がれます。

反対側を見ますと、上に上がる階段が見え、ここにも上部から柔らかい光が注がれます。
1階は、個室が並ぶプライベート空間、2階はオープンなパブリック空間です。
このエントランスホールに入ると、階段吹抜けを通して上階からの気配が感じられます。

一つの扉を開ければ、そこから先はプライベートゾーンで家人以外は入りません。
そこは、静かなスペースです。

階段をあがると、2階は間仕切りの無いワンルームで、動きが感じられる楽しいスペースとなります。

2階のリビング・ダイニング・キッチン
木製サッシの大開口を通してシンボルツリーが見え、その向こうに小川そして美しい街並みが開けます。
キッチンへも外からの光が入ります。

デッキには造り付の椅子があり、そこに座ると小川を眺めることができます。
夏の蛍鑑賞もここからできますし、デッキでのバーベキューパーティーにも最適。
外気を取り入れた気持ちよいデッキ空間です

この敷地は、周りの環境がよい為、できる限り自然環境を内部にも取り込みたいと設計しました。
2階はワンルームですが、どこにいても自然が見え、また落着けるコーナーを用意しました。

コーナー部分には、和室があり400mmほど床が上がっています。
和室に腰掛けてリビングの仲間や家族と話しができます。
和室のコーナーには掘り炬燵式のワークデスクがあり、コーナーのサッシを通して北面の美しい山々を見ることができます。

直角の壁で囲まれたコーナーにサッシを設けますと、視野が90度拡がるので、開口部の大きさ以上の解放感を感じることができます。