谷川連峰をのぞむ森の別荘(水上高原レジデンス)

共同設計 ndesign 中村隆治

POINT
琉球石灰岩の柱と、米杉の木造架構が織りなす大空間のリビンク・ファイヤースペース・ダイニング
多彩なインテリアのベッドルームと和室、半露天の温泉浴室、囲炉裏のような鉄板焼きコーナーなど、非日常の空間の中で、時間を忘れて寛げる別荘
森の中に建つ、3つの切妻屋根で構成された、自然にとけこむ外観

標高1000mを超える高原に建つ別荘です。この計画では大自然の四季のうつろいを感じながら、多様なアクティビティーを家族や仲間と楽しめる空間創りを目指しました。

建物の外観は、廻りの自然に溶け込むように、地面から1mが石の基壇、その上にレッドシダーの外壁、そして9寸勾配の切妻屋根が載る構成としました。 また配置では建物の一部を半地下として、周辺の地形に寄り添うようにすると共に、リビングの窓から谷川連峰がまっすぐ見えるように、リビング部分を建物の軸線から30度振っています。

来訪者は、レッドウォークの玄関扉を開け、半外部的なアプローチを通り、大きく視界が開けるファイヤースペースへと導かれます。屋根の構造架構をそのまま天井に表した、リビング・ファイヤースペース・ダイニングと続く大空間は、琉球石灰岩の柱が力強く支え、屋根に設けたハイサイドライトからの光が優しく注ぎ込みます。

オープンキッチンでは、大きなカウンターで朝食も摂れます。またその奥の鉄板焼きコーナーでは家族や仲間が、昔の囲炉裏空間のように、鉄板を囲んで食事を楽しめます。更に、それぞれに趣が異なるベッドルーム、竹と漆喰で囲まれた落ち着きある和室、温泉が注ぎこむサウナ付き半露天風呂浴室と場面が展開し、訪れた人は、好みの場所で、時間を忘れて楽しいひとときを過ごすことができます。

雪を抱いた森に佇む外観

大自然に対して、溶け込むように9寸勾配の切妻屋根を架けた外観です。

アプローチ道路からの外観

玄関へのアプローチ

3つの大きな屋根でこの建物は構成されており、その接点にハイサイドライトを設けました。

アプローチは、建物の全景をとらえながら、建物妻側へとゆっくりカーブしていきます。

緑の木々に包まれる夏の別荘

森の中に埋まるように配置した外観

敷地の勾配や斜面のレベルを考慮して、建物の一部を埋めるような形で配置しました。
廻りの環境に対して威圧感が無く、自然に溶け込むような形態としました。
屋根の仕上げはガルバリウム鋼板で、壁はウエスタンレッドシダー(米杉)のサイディングに浸透性塗装

雪の中の夜景

夜になると廻りは、月明かりのみとなります。
建物からそとの樹木を照らし、内部からも夜の森の静けさを体感できます。

北妻面立面

豪雪地帯では、落雪の危険性を防ぐ為、玄関は妻入りとし、屋根の雪が落ちてこない位置に玄関を設けます。
駐車場も妻側から入ります。2台が入るスペースで、木製のオーバースライダードア
設備の屋外機スペースは、雪の影響がないように2階の妻側部に配置しました。

煙突は、4本で、換気用と排煙用、そして暖炉排気用です。

エントランス

玄関は、地盤より1m上げて設け、本格的な雪の季節でも扉に支障が無いように考慮しました。
玄関扉は、巾1500の1枚の大扉

レッドウォークの玄関扉

取っ手は鋳鉄製で、植物の生き生きした姿をイメージしたもの。
建物を訪れた人が最初に触れる場所が取っ手です。建物と人が握手する取っ手はとても大切な部位です。
扉の木は厚いレッドウォークを削り、溝を付けてランダムに貼り合わせています。
生命感のある木を使い、一見して迫力ある印象を与え、しかもシンプルであることを念頭にデザインしました。

鋳鉄のドアノック

このドアノックも鉄の製作物。沖縄で活躍する作家高良康男氏の作品。

玄関中軸回転扉

玄関扉は、中の軸を中心に回転します。

プロムナード

玄関からメインのホールまでは、半外部のようなプロムナードを設けました。
いきなり外部から内部にはいるのではなく、ここは一つの緩衝帯で、気持ちが次第に変わっていく場所でもあります。
冬以外の季節は、左のテラスドアを開け、外の庭を見ながら進みます。
壁は外壁と同じレッドシダーに塗装を施したもので、床は、玄関外部と同じ錆び石。
正面に扉があり、そこがリビングとの結界となっています。

谷川連峰を真正面に捉えるファイヤースペースとリビング

扉の先は、大空間が拡がります。
手前が暖炉スペース。
ファイヤースペース越しに大きな開口部があり、その先には雪をたたえた谷川連峰の勇姿が一望できます。

大きな開口部は、木製断熱サッシで、木製サッシですが外部にはアルミで枠を囲んでいます。
冬の厳しい条件のもとでは外部をアルミとし、耐久性を持たせると共に、メンテナンスフリーの考えに基づきこのサッシとしました。

床の仕上げは、バンブー(竹)フローリング

建物を30度振ったリビングスペース

大きな開口部の向こうにはゴルフ場の斜面を挟んで遠く谷川連峰を望めます。
このリビングとファイヤースペースの大開口から正面に谷川連峰の勇姿を捉えられるように、この部分を建物全体の軸線から30度曲げています。
敷地の地形と高低差を考慮し、谷川連峰の見え方も計算した結果この形態に辿り着きました。

リビングは、敷地の高低差を利用し、60cmほど床レベルを下げています。

リビング妻面の大開口

夜を楽しむ

夜には暖炉に火をともし、暖かい光の下で、団欒の時間を楽しみます。
リビングからファイヤースペースとその先のダイニングを見たところ。

柱は、琉球石灰岩を化粧とし、天井の構造材は白い塗装拭き取りで木地を見せています。
建物全体は、薄いベージュ系の暖色で、気品に満ちた色合いとしました。
夜になると、照明が灯り柔らかい大空間になります。

ソファーや、テーブル、カーテン等この建物のインテリアコーディネイトは、大阪のインテリア事務所tapie(タピエ)玉井恵理子氏。

夜を楽しむー2

ダイニング方向からファイヤースペース・リビング方向を見たところ。

ファイヤースペース

暖炉は、家の中で火を楽しみ、落着くゆったりとした時間をもたらしてくれる装置です。
この暖炉は上から吊るタイプで、暖炉の周りを掘り炬燵状にして、仲間がそこに腰掛けて過ごせるようにしました。

暖炉の火の廻りは火に強い大谷石で、それを囲む床は琉球石灰岩の磨き仕上げ。

木造大架構

天井は、構造材の美しさをそのまま表現したデザインです。
木の材種は、米松集成材に白く塗装し、木地を見せるために拭き取った仕上げ。

積雪荷重を考慮した設計で、梁もかなりの太さです。
手前の明るい部分は、屋根の先端のハイサイドライトからの光によるもの。

建物の軸線から30度振っているのが見えます。

シャンデリア

沖縄の作家高良康男氏の力作
3つのリングは、したから見ると、太陽のリングに見えます。
太陽への尊厳、パワーを表現したもので鋳鉄製フレームの上に製作ガラスのランプ台が載るもの。
ひとが完全にすっぽりと入ってしまうほどの大きさです。

ハイサイドライトからの光が壁にあたり、柔らかく反射しています。

鹿のインテリア

柱に付けた鹿の頭は、木製
シンプルで迫力ある構造架構に、有機的なインテリアを付ける事で、お互いが尊重しあう面白い構図となりました。

そとの景色を充分に取り込む大開口

開口部は、真ん中がFIXの固定窓で、両側が換気・通風用の開きドアとなっています。
大きなFIXの開口部には光触媒の膜を作り、汚れは雨と共に落ちるメンテナンスフリーの窓です。

ダイニングの先に設けた鉄板焼きコーナー

ダイニングの隣には鉄板焼きコーナーを設けました。
ダイニングとの連続性を持たせつつ、煙と臭い対策として、大きなガラス引き戸で区画しました。

鉄板焼きコーナー

鉄板焼きコーナーでは、シェフを呼んでの鉄板焼きや、仲間同士でのパーティー等、鉄板を囲んでの楽しいひとときが過ごせます。
座る椅子台は、巾900mmで、掘りごたつ形式。この椅子台にあぐらで座るのも良し、足を入れて座るのも良し。
材質は、木目の色合いが美しいハワイアンコア。

パブリックとプライベート空間を繋ぐ廊下

大空間のパブリックスペースから、ベッドルームへと至る廊下です。
廊下部分は、天井をフラットに貼り、少し低めに設定して、空間にメリハリを付けました。

勾配天井のあるメインベッドルーム

メインベッドルームは、勾配天井をそのまま利用した大きな吹抜け空間です。
右の窓はシャワールームの窓。
大きめのウォークインクローゼットを備え、長期の滞在にも対応できます。

ベッドルームは、パブリックスペースと異なり、床は全てカーペット仕上げ。

リビング・ダイニングの構造架構が連続するベッドルーム

このベッドルームはダイニング・キッチンの大空間を見下ろす位置に設け、窓を開けると、大空間が目の前に拡がります。
天井の構造架構は、ダイニングからこのベッドルームまで連続しています。
窓のカーテンは、天井の梁を隠さない位置に設置。下の階から見上げた時も構造梁が部屋の中まで続いていくのが見えます。

ハイサイドライトのあるベッドルーム

外部からの光は屋根に設けたハイサイドから採りました。
やや高いところから差し込む光は、天井面を照らし、部屋全体を優しく包みます。

ベランダへ繋がる大開口のあるベッドルーム

この部屋は、壁の色をやや濃いベージュとし、ソファー等はアクセントカラーとしてゴージャスなパープル色を用いました。
大きなベランダも備え、雪景色を楽しめます。

ダークカラーで特徴づけたベッドルーム

半地下に設けたベッドルームで、ここは鉄筋コンクリート造。
ややダークな色合いで全体をまとめ、アクセントカラーで空間を締めました。
壁の一面をグレーで塗装。照明も必要最小限とし、ぐっと落着いた雰囲気としました。

和室ー1

和室には、竹の天井、琉球畳の床、琉球しっくいの壁、沖縄月桃紙(げっとうし)という自然素材を用いました。
天井の竹は、薄煤竹で、京都の竹専門店「御池」の製品。
煤竹は、囲炉裏などの上に設けた茅葺屋根の下地を縄で縛ったもので、煤が竹に付き、縄跡が美しい模様となる竹ですが、近年では数が少なく人工で作ります。
色も飴茶色で、敷き詰めると非常に美しい天井になりました。

琉球漆喰は、藁と石灰岩を混ぜてつくる壁材で、調湿効果がある健康建材。
座椅子は、京都の「俵屋」旅館で使われる座椅子と同じデザイン。
座っても畳上を滑らず、背もたれも丁度良い高さ設定で、リラックスして座れる名品です。

和室ー2

畳部屋の窓側には縁側を設置。

床の間

床の間は、できる限りシンプルに作り、床に存在感のある無垢板を置きました。
照明は、その無垢板の奥に置いただけの間接照明。

欄間は竹を天井の竹と交互に組み合わせ、スリットから竹の天井を照らします。

ベッドルームが見える洗面スペース

メインベッドルームの洗面スペースで、窓からベッドルームの光が注ぎます。
2つの洗面台がある壁の裏はトイレとシャワーブースです。
天井は、ヒバ材。ヒバの香りは気持ちをリラックスさせてくれます。

ガラスのシャワー室がある洗面スペース

この建物には大浴室があるので、各ベッドルームにはシャワーブースを設置しました。
ガラスパーテションとストーンモザイクの壁、ヒバの天井という構成で、温かみとシャープさを表しました。

景色が楽しめる大浴室

大浴室は、ガラス戸を引き込むことで、フルオープンの半露天風呂になります。

床は、さび石のジェットバーナー仕上げ。浴槽内は、十和田石。浴槽の縁は、肌触りの優しい檜としました。
十和田石は、滑りにくくまた温泉にも強い材料で、水を満たすと美しいエメラルドグリーンになります。

サウナを備えた半露天風呂

この浴室にはサウナも完備
丸い浴槽は、水風呂です。

サウナ質からも雄大な景色を堪能できます。
この浴室の前には、山桜の大木があり、春には桜、秋には紅葉を堪能できます。