ハイサイドライトのある横浜の家

POINT
耐久性のある「銀ねず色」のガルバリウム鋼板の外壁と、米杉の壁で囲まれた玄関ポーチを持つ家
南からの光をハイサイドライトから採りいれ、吹抜けを介して家全体を照らす、明るく快適な住まい
可動間仕切りで、自在に使い分ける自由度の高い住まい

敷地は造成された住宅地の一画で、北側が道路で残り3方向を戸建住宅に囲まれています。 廻りに残された緑地への視線や風の通り道を考慮し、家の中心であるリビング・ダイニングを1階 の北側に配置して、そこに吹抜け上部に設けたハイサイドライトからの光が注ぎ込むようなプランとしました。

吹抜けリビングを中心に、1階はダイニングとキッチン、プライベートガーデンへと繋がる和室、水廻りを配し、 2階は、夫婦の寝室と子供部屋という構成です。1階はワンルームですが、可動間仕切りにより、 和室は家族の寝室や母子の遊び場としてフレキシブルに対応でき、2階の子供室も、子供が小さい うちは大きなプレイフィールドとして、大きくなったら2つの個室として、さらに独立後はゲストルームとして 使えるように配慮しました。

蓄熱暖房、IHヒーターを用いた高気密高断熱のオール電化住宅ですが、何よりも外とのつながり や、時の移り変わりを、五感で体感できる家になりました。

ガルバリウム鋼板の外壁

外壁は、メンテナンス性を考慮した金属のガルバリウム鋼板の縦ハゼ葺きです。 ガルバリウム鋼板自体は、20年は塗装も持ちますし、将来は上からもう一度塗装すれば更に長持ちします。 鋼板の色は、「銀ねず」色。 鼠色の黒に近いものですが、光沢があり光が反射するので、外で見ると空の色が映り込み、街並みに対しても違和感なく、スマートで引き締まって見えます。

木の壁で囲まれた玄関ポーチ

ひとが建物に近づく部分、特に玄関周りは、木の壁としました。 やはり見た目も優しいですし、手で触っても自然素材は暖かいのです。

玄関ポーチが一つの木の壁で囲まれたように見せるため、屋外収納扉にも玄関扉と同じレッドシダーを貼りました。 表札上の照明は、船舶で使う照明器具。

玄関までのアプローチの距離を取ることで、外から帰ってきた時に気分が少しずつ変わるようにしました。 道路からいきなり玄関ではなく、アプローチはできる限り長くとれるようにします。

リビング・ダイニング・キッチンと繫がる開放性のあるプラン

1階はリビング・ダイニング・キッチンそして和室が繫がるプラン構成で、あくまでもオープンな場。 2階は、プライベートな場として明快に分けました。 オープンな1階は、できる限り扉を無くし、広々と使えるようにしました。 和室は、小さい子供の遊び場ですしダイニングテーブルも勉強机となります。 水廻りはコンパクトにまとめ、他のスペースは何にでも利用できるようにできる限り大きくとりました。

この住宅は、高気密高断熱住宅で、オール電化です。 冬の暖房には家全体を輻射熱で暖める蓄熱暖房方式を採用しています。

家族の気配が感じるプラン

家の中心の吹抜け空間に面して1階は和室、2階は主寝室、子供部屋が面します。 子供は、まだ小さいのでこれからしばらくは、その気配がいつも1階でわかるようにしました。 主寝室にも吹抜けに面して開口がありますが、ここは引き戸によって開閉ができます。 小さな子供にとって親が何となく傍にいることは、何よりの安心感につながります。

階段は、リビングから上る位置に設置しました。 子供達が大きくなってからでも、自分達の部屋に行くのに必ずリビングを通るので、会話が生まれます。 親と子が何度も顔を合わせる。 リビングの階段というのは、家族が一つになると言う意味でも大切だと考えます。

畳と無垢フローリング

1階の右奥は、6畳の和室で、外部の庭に開かれています。 引き戸をL字型に設け、開閉は自在です。 畳の良さは、そのまま寝っころがれること。 風が抜けるので、昼寝は最高です。 子供の遊び場として少々どたばたしても音はしないし、転んでも怪我しません。

和室以外の床はナラの無垢フローリング フローリング部分の仕上げのワックスは、クライアント自らが塗りました。 床は、唯一人が建物と接する部分で、そのものの材質感や暖かさ、堅さ柔らかさを敏感に感じるところです。 日本の生活では素足で生活する為、身体に直に接する床は、自然素材でフローリングならば無垢材がやはり優しいのです。 無垢の良さは、経年変化にも耐えられ、しかも傷が沢山入ったならば後で上部を削ることができる点です。 勿論コストを考えながらの設計ですが、床は大切にしたいところです。

ハイサイドライトのある吹抜けリビング

ハイサイドライトは、光を横線上に沢山取り込むことが可能で、しかもそのハイサイドライトの外部に庇を設けることで 夏場の強い光を遮ることもできます。 また、大きく開口部を設けても、屋根の上に設けるトップライトよりも防水上の納まりが良く、漏水の心配も少なくてすみます。

ハイサイドライトからの光を柔らかく伝える曲面壁

ハイサイドライトから採りこんだ光を天井から壁に滑らかに伝える為、壁と天井を曲面で繋ぎました。 下地は、まず大工さんが木で、多角形に木を組んでゆきます。そこに水で濡らしたケイ酸カルシウム板を 曲げながら貼っていきます。このケイ酸カルシウム板が乾燥し、天井と壁がつながります。

西側の森を見るためのピクチャーウインドウ

2階の廊下部分からは、吹抜けを介して西北面にある緑地帯を見ることができます。 建物から見える自然を綺麗に見せるように、壁に設ける窓の位置はとても大切です。

将来2つに別けられる子供部屋

2階の子供部屋は小さいときには大きなプレイスペースとしてワンルームで扱い、子供達が成長したら2つの個室に別けられる様に考えました。 中央の梁を境として2つに別け、正面の収納は兄弟共通の収納として使います。 将来2つの個室を設けた場合、それぞれの部屋にもハイサイドライトからの光が入り、充分な明るさが得られます。 また左の部分は奥にある主寝室への廊下になります。 個室の幅は1間で狭いのですが、高さ方向に拡がりが感じる為、平面で見るよりも実際は広く感じます。

収納は、できる限りまとめて配置し、大きさも確保。

書斎コーナーのあるベッドルーム

夫婦のメインベッドルームには南側の日当たり良い場所にバルコニーを設置しました。 2階のこの場所には光が入り洗濯物を干すスペースとして有効です。

また左のクランクした場所は、書斎コーナー。 机を置いて静かに考え事ができるコーナーとしました。