かんのぼっくす 段差が生む立体住宅

宮脇檀氏が設計したかんのぼっくすは26坪ほどの小さな住宅ですが内部空間の豊かさは、その狭さを全く感じさせません。玄関を入るとトンネルのようになっている階段を通り、リビング・ダイニング・ベッドルームが立体的につながる空間に出ます。何と言っても4段の階段を上がったところの45度振られたダイニングテーブルが据えられたスペースが圧巻。この4段上がったレベルには、ダイニングテーブル・ベンチが置かれ、その両サイドにキッチンと、洗面・浴室・トイレがコンパクトに納まり、両サイドの水廻りには外観からも見えたトップライトの光が射しこみます。しかもその両サイドの水廻りは、一方がオレンジ、もう一方がイエローで壁・天井が塗装され、別世界を創り出します。宮脇さんが、主婦の為のスペースと呼んだこのフロアーを中心に、リビングとベッドルームが吹抜けを介して繋がります。 一番気持ちの良いのは、この造り付けダイニングのコーナーの席。ここに座ると、玄関から2階、リビングと全てが見渡せ、とても開放感を感じると共に、落ち着きます。 玄関方向を見たところ 玄関から階段のトンネルをくぐると、さきには、45度振られたダイニングスペースがあり、その右奥に、リビングがあります。この45度の腰壁によって空気の流れがリビングへと向かいます。 建物を貫くトップライト この4段あがった主婦のスペースと吹抜け空間が、この建物の肝 45度に飛び出してくるコンクリートの中は、水廻り空間 階段の手すり壁も効いている 玄関の上には小さな床があり、そこに植木が置いてありますが、この緑が、ダイニングからも見えて見事な効果となっています。 その植栽のメンテの為だけに造られたドアも壁と一体となった木壁の中にデザインされています。 そして主婦スペースの水廻りのトップライト。 屋根から垂直の光をいれるのではなく、斜めに開いたトップライトから斜めの壁を伝わって光が入ってきます。そのため、オレンジやイエローの色がさらに際立つしくみ。しかも、サッシの枠が見えず、ガラスだけが見えるので、ズバッと屋根に穴が空いて空と続く感覚です。 1971年の竣工ですから築46年も経つ住宅ですが、その洗練されたデザインは、まったく古さは感じさせず、むしろ学ぶことが沢山ある秀作でした。