海を味わい尽くす葉山の別荘
- POINT
- どこに居ても葉山の海をいつも身近に感じ、刻々と変化する海とひとつになれる家
- 様々なシークエンスを海と共に味わえる家
- 多様な素材や色のフュージョン(融合)を楽しむ家
目の前に拡がる湘南の海、そして森戸海岸の沖合に建つ名島の海上鳥居や裕次郎燈台、江の島さらに遠くに富士山の全貌を捉えることができる場所にこの別荘は建っています。
この立地を生かし、180度海を眺めることは勿論、時に海中に、時に船上にいるかのように、海を味わい尽くせる家を考えました。またクライアントは自らもバンド演奏を行うジャズフュージョンの愛好家であり、多様な素材や色、形態の融合(フュージョン)をテーマとしました。
建物構成は、1階に音楽スタジオ、2階はエントランスホールと2つのゲストルーム、3階は、180度の海のビューが楽しめるリビング・ダイニング・キッチンのワンルームで、リビングに繋がる屋外テラスと、仲間と楽しむ鉄板焼きコーナーを設けました。4階はマスターベッドルームとビューバスとサウナ、さらに屋上に昇れば、夏の花火を楽しめる360度解放されたテラスがあります。
ゲストがエントランスゲートをくぐると、コバルトブルーのスロープが迎えてくれます。そのスロープを昇っていくと塀の上から次第に雄大な海の景色が姿を現し、海風や潮の香りと共に、この土地の持つポテンシャルの高さを感じることができます。エントランスホールは、琉球石灰岩タイルの壁とジュライエローの床からなる海の洞窟のような空間。そこに絶景を切り取る額縁としての出窓を設けました。奥には螺旋階段が見え、上階へと誘い込みます。螺旋階段にはトップライトから柔らかい光が注ぎ込み、滑らかな造形の手摺壁と共に貝殻の中を歩くような感覚をもたらせます。3階に上がると一気に視界が開け、海を眼下に捉えます。
海は潮や風で常に動いていますが、ここに座って海を眺めていると、建物に居ながら、あたかも大海原を行く大きな船に乗っている感覚になります。
インテリアでは、円形の持つ解放感と一体感をより鮮明に認識できるように海側を全て窓とし、円形の壁面にはキッチンと暖炉を嵌め込みました。壁面の木の素材はキャラクターのあるタモの玉杢練り付け、中央の柱と外周のバルコニーには海と呼応するブルータイルを貼り、異なったテクスチァーの融合(フュージョン)を図りました。
刻々と変化する海の景色を見ていますと、日常の慌ただしい心の動きが次第に落ち着き、感情の奥にあるリラックスした自分自身を取り戻すことができます。
この建物は、その場その場のシークエンスを存分に楽しみながら、どこに居ても海を感じ、味わい尽くせる住まいの提案です。
丸いシリンダーと水平方向を強調するバルコニーが廻る外観
海まで5m。2つの道路の角地に建つ丸い外観
外周を廻る高さ2.7mの塀は、高波による潮から建物を守ります。
南西面から吹きつける強風は丸い外壁を抜けていきます。
船舶を連想させる丸窓のある東面外観
4階の出窓は、東北側にある葉山の山々を見るためのものです。
夕日に映える薄いピンク色(灰桜色)の外観
各部屋の色の違いが現れる西面夕景
2階ゲストルーム、3階のリビング、4階のマスターベッドルームと部屋によって色を別けました。
エントランスゲートのある東面外観
海を視界に入れながらゆっくりと上る玄関アプローチのスロープ
エントランスゲートをくぐり、ブルータイルのスロープを上がるにつれて湘南の海が目の前に拡がります。
この建物が建つ敷地のポテンシャルの高さを実感できるアプローチ。
スロープから見た葉山の海の夕景
海と空が目の前に拡がります。塀に移り込む植栽の影も絵になります。
スロープが貫入するエントランスホール
スロープを上って辿り着く2階のエントランスホールです。右のスリット窓は、ゲストルームの窓。奥に螺旋階段が見えます。左は1階へ下りる階段。
ベージュ系の石で構成した洞窟のようなエントランスホール
琉球石灰岩タイルの壁とジュラストーンイエローの床、薄いピンク色の天井のホール。照明は、床スリットからの間接照明です。
海を切り取る額縁としての出窓
エントランスホールに設けた出窓からは、葉山の絶景が拝めます。出窓で寝そべって一日海を眺めたり、読書をしたりして楽しめます。左はアプローチのスロープ。
螺旋階段
半円形の壁の中に螺旋階段を嵌め込みました。
貝殻の中を上がっていくような滑らかな螺旋階段
3階の階段ホール
楕円のトップライトからの柔らかい光が注ぎ込む螺旋階段
有機的な手摺が続く螺旋階段の見下ろし
流動的な螺旋階段の最上階部分
琉球石灰岩のタイルを貼った壁
125角に琉球石灰岩を切りだし、縁を磨きました。光が当たると、表面の凹凸が、美しいハーモニーを奏でます。
スチール手摺が空間を引締める、1階から2階へ上がる階段
うねるスチール手摺がある、1階のクライアント用玄関ホール
スチール手摺のデザイン・製作は、アトリエBOCOの小林秀幹氏。階段を数段下りると、音楽スタジオ。
180度の視界が拡がる3階のリビング・ダイニング・キッチン
円の中央の丸柱や、バルコニー手摺には海をイメージしたブルータイルを用いました。タイルの製作は、岐阜の寿山。床は、2階エントランスホールから続くジュラストーンイエローの石の床。ソファーは心石(こころいし)工芸製のもので本革貼り。
暖炉に火が灯るリビングダイニングの夕景
どこに座っても、絶え間なく動く海と空を眺めることができます。ダイニングテーブルは、伸縮可能なデンマーク製ヴィンテージ家具。ダイニングチェアーは、1960年代のデンマークのデザイナーニルス・O・モラーのデザインで、極限まで細く削り出したブラジリアン・ローズウッドのフレームに皮貼りの座面。日本での輸入はルカ・スカンジナビアさんが扱っています。暖炉が特注のガス暖炉。暖炉は特注のガス暖炉で、製作はエフエムプラン。
曲面デザインのアイランドキッチンからテラスと鉄板焼きコーナーを見る
アイランドキッチンはオリジナルのもので、ステンレスシンクは丸くして、仲間と共に作業がしやすいものにしました。鉄板焼きコーナーは、掘りこたつ式とし、鉄板を丸く囲んで会話が弾む様に考えました。
景色と食事を楽しむ鉄板焼きコーナー
三日月形をした鉄板焼きコーナー。背中は壁で囲まれており、落ち着いて食事が楽しめます。フードは楕円形で、その縁が照明になっています。鉄板焼きコーナーの前は、屋外テラス。
海への視界が拡がる3階の屋外テラス
大きな庇の下なので、夏の厳しい陽射しや雨を気にすることなく外の空気を味わえます。ここに、ソファーを出したり、テーブルを添えて食事をしたり、いろいろな楽しみ方ができる気持ち良いスペースです。丸い陶器のテーブルと椅子は、福岡の小石原焼。
曲面デザインの特注アイランドキッチン
カウンターの手前にはハイチェアーを置いてカウンターで食事を楽しめます。アイランドキッチンとバックパネルの仕上げ材は、キャラクターのあるタモの玉杢仕上げ。カウンターは、人造大理石の1枚もの。IH及び昇降式のレンジフードはガゲナウ製。
遠く富士山を望む夕景
食卓上部のペンダント照明は、真鍮の芯にオニックスの円盤が2段付いたもの。APPARATUS製のもので、代理店はCOMPLEX UNIVERSAL FURNITURE SUPPLY。
海を見下ろす半円形の2階ゲストルーム
木製サッシの腰部分パネルは、外倒し開閉で、波の音や心地よい風を招き入れます。右の横スリット開口は、引き戸により閉じることができます。
2階ゲストルームのシャワールーム・トイレ・洗面スペース
クールなモザイクタイルと暖色のブラックチェリーが織りなす心地よい水廻りスペース
解放感抜群の4階マスターベッドルーム
海側を完全に開いた解放感のあるマスターベッドルーム
薄いブルーで塗装したマスターベッドルーム
円形に合わせて造り付けた収納は、3階と同じタモの玉杢仕上げ。ラウンジチェアーは、ポール・ケアホルムがデザインしたPK20。同じく、スツールはPK33。ベッドヘッドの壁に架かるブラケット照明は、ダイニングペンダントと同じAPPARATUS製のもの。
仲間とジャズを楽しむ1階の音楽スタジオ
クライアントの趣味であるジャズ演奏を楽しむための本格的防音スタジオ
グリーンの石の背もたれ壁があるビューバス
広いヒノキの縁甲板は、そこに座って海を眺める特等席。背もたれになる石の壁には暖房が入っているので心地良い。また、浴槽から洗面が見えない目隠し壁としての役割も担っています。
引き戸により開放され、海と一つになる半露天風呂
大きな引き戸を壁に引き込むと、目の前の海とひと繋がりになります。
丸窓のある柔らかい曲線でデザインした特注サウナ
ヒバの香りに包まれて、ゆったりと寛げるプライベート空間。ベンチに腰掛けると、丸い窓から富士山が見えます。
立体感のあるモザイクタイルを使用した4階トイレ
立体感のあるブルーモザイクタイルと暖色系の床タイル、ブラックチェリーの天井と家具で構成した非日常空間
異空間を演出するブルーモザイクタイルの3階トイレ
海と波をイメージしたブルーのモザイクタイルで囲まれたトイレ。船舶を連想させる丸窓からは、柔らかい光が注ぎ込みます。
360度湘南の展望を楽しめる屋上テラス
屋上からは、180度の海と葉山の山々の眺望が楽しめます。コンクリートと、人造木のL字型のベンチを設置。ここからは、葉山や逗子の花火を楽しめます。手摺を支えるコンクリートのマッシュルーム型の基礎には照明を埋め込みました。手摺は、塩害による錆から守る為、亜鉛メッキにリン酸亜鉛処理を施しました。