みちのく銀行むつ支店

POINT
厳しい冬の間、凛として立ち続ける樹木と、暖かさを醸し出す行燈を重ねてイメージしたシンプルな外観
市民に開かれた木の通路(プロムナード)を持つ銀行
お客様にも従業員にも、相談しやすく働きやすい、明るい執務空間をもつ銀行

青森県むつ市の街の中心が、新市街地に移りつつある中、旧店舗の老朽化と支店の統合に伴う新しい支店の新築計画です。みちのく銀行の「市民に開かれた家庭の銀行」という企業理念を形としていかに表現するかが、今回のテーマでした。

敷地は、東・南面の2方向が幹線道路に、西面が大型店舗との共有駐車場に面し、どの方向からも見えるため、表裏のないデザインとしました。

また、郊外型の大型店舗やロードサイドショップが立ち並ぶ混沌とした景観の中で、シンプルで飽きのこないデザインを追求しました。

外観は、厳冬の中、凛として立ち続ける青森の力強い樹木のイメージと、白一色になる冬の夜に、暖かさを醸し出す行燈のイメージを重ね、セメント成形版と縦スリットの開口により表現しました。 また、建物のコーナーは、全てアールとし、連続性と親しみやすさを感じられるデザインとしました。

1階は天井の高い開放的な営業室とATMコーナー、応接室、2階はプライベートブースを中心にした法人営業室と応接・会議室、それに従業員諸室からなります。どの部屋もスリット開口から明るい光が入り、お客様にも従業員にとっても、相談しやすく働きやすい室内空間としました。

1階エントランス廻りでは、市民に対してより開かれた銀行になるように、交差点側と、駐車場側にそれぞれ入口を設け、通路(プロムナード)でつなぐことで市民が自由に通行できるようにしました。

インテリアでは、暖かさと優しさが感じられるように、プロムナードと2階に続く階段室、2階の展示ホールに至る壁に無垢の杉板を、1階営業室カウンター腰壁には青森県産ヒバ材を用いました。更に1階プロムナード壁面の一部には冬でも緑が鑑賞できる緑化壁面を設けています。

銀行というどちらかと言えば閉鎖的になりがちな建物において、市民が自由に行き来でき、気兼ねなく立ち寄れる開かれた銀行になりました。

2016年 第8回ふるさとあおもり景観賞最優秀賞 受賞

羊蹄山を背後にのぞむ交差点側ファサード

青森市から国道でむつ市街地に入りますと大きな交差点の丁度角地にみちのく銀行が見えてきます。

周辺の混沌としたロードサイドビル群の中で、白くシンプルモダンな外観は、清々しさを感じます。

夜になると、縦のスリット開口からの光が行燈のように街を照らします。

こちらは大型店舗と共有駐車場からのファサード

内部諸室の間仕切りを考慮しつつ、縦スリット開口を千鳥に配置。

左の緑の庇のあるところが、駐車場側エントランス。 右の壁が入り込んだところが、従業員用エントランス。

庇が架かる駐車場側エントランス

庇下の緑の壁は、羊蹄山からの冬の季節風を防ぐ役目もあります。

幹線道路側ファサード

2階の大きな窓からは、むつの新市街地を眺められます。

幹線道路側夜景

幹線道路の交差点にあるエントランス

建物の角は全てアールとしました。

西面外観ディテール

1階の大きな開口部は、営業室の窓。外壁は、成形セメント板の上に低汚染型フッ素樹脂塗装を施したパネルです。

階段室部分のアールのついた外壁

幹線道路側と駐車場側を結ぶプロムナード

壁は、無垢の杉板。右には冬でも緑が楽しめる緑化壁面を設けました。

左は、2階へ行くエレベーター

奥が営業室です。

やや天井を低く抑えたプロムナードから天井の高い営業室に入りますと、一気に解放感を味わえます。

天井の高い、柱を飛ばした大空間の営業室

天井のライン照明、空調スリットで奥行感を出しました。

営業室のカウンターは、青森ヒバ。 奥の壁は大きな開口部をとることで、営業室全体に光を採り入れます。

営業室カウンターからお客様スペースを見たところ。 奥がプロムナードと階段室。

左がATMコーナー

プロムナードから階段室へ

営業時間によって、2階へ上がる階段室は閉じられますが、階段室をガラスパーティションとすることで、時間外もプロムナードの拡がりを感じられるようにしました。

アールの壁を描く階段室

2階のホール

1階のプロムナードから2階営業室、ホールまでお客様が通る部分の壁は杉板としました。

2階の明るい応接室

2階の研修・会議室

2階の従業員休憩室