木の壁で囲まれたアウトドアリビングを持つ湘南の家

POINT
引き戸を開ければ街と繋がる、アウトドアリビングをもつ家
ハイサイドライトからの光が、リビング吹抜けを介して家全体を明るく包む家
吹抜けを中心に部屋がつながり、家族の気配がわかる家

新しく開発された街区に建つ家で、北面は道路であとは隣家で囲まれています。

敷地の一部飛び出した部分を木で囲み、屋根の無いアウトドアリビングとしました。

引き戸を開けると街区とこの中庭は繋がり、子供達の遊び場として、そして近隣住人の集いの場にもなります。

内部は、1階がリビング・ダイニング・キッチンと、引き戸で自由に区切れる和室のオープンな空間とし、2階は、ベッドルームと水廻りという構成で、吹抜けのハイサイドライトからの光が、優しく全体を包み込みます。

2階の主寝室や子供部屋には吹抜けに面して大きな引き戸を設け、いつも家族の気配が感じられる家にしました。

天井は、木の構造架構をそのまま表現し、空間を有効に利用すると共に木の持つ優しさが伝わるようにしました。

北側道路という一見不利な条件の土地でしたが、住まいの中心であるリビングを北側に設けハイサイドライトから光を採り入れることで、落ち着いた明るく開放的な住まいになりました。

美しい木の壁がある外観

敷地の一部に三角形に出っ張った部分があり、この北側道路に面した部分がこの建物の全てを決めるキーワードとなりました。 母屋は、敷地のほぼ四角い部分に総2階でおさめ、この三角の部分をアウトドアリビングにしました。 この北側に面したところを屋根の無いリビングとして、内にだけではなく街に対しても開かれるものにし、街の子供達の遊び場になったり近隣の集会場やバーベキュー広場にもなる事を考えました。 その為にアウトドアリビングの木の外壁に大きな引き戸を設けました。 また、引き戸をルーバー状にすることで、夜のあかりが街にも漏れ、街に暖かさを提供します。

クライアントは、帰宅時にこの曲面の柔らかい壁に沿って歩き、玄関へと向かいます。

木の外壁

ひとが近づき、手が触れる場所は、木の外壁としました。 自然素材は、やはり我々に温かみを与えてくれます。

木の壁でできた玄関ポーチ

壁は、チャネルサイディングで、外壁防火構造認定のもの。 壁と玄関扉は、同じ素材で作り、ひと繋がりの壁のように見せました。

玄関までのアプローチは、気分を変えるという意味でできる限り長いほうがよいと思います。

光注ぐ明るい玄関ホール

室内は、できる限り昼間電気を付けなくてもある程度の明るさを確保したいといつも思います。 特に玄関は朝家から外へ出て行くところですので、気持ちを入替える為に非常に重要です。 この家では、玄関ホールへ2階吹抜けからの光が降りてきます。 東側玄関ですので、朝の出勤時、通学時には明るい光で満たされます。

100足の靴が納まるシューズインクロークを併設した玄関

玄関ドアを開けて左側は、土足のまま利用するシューズインクローク。 100足程度の靴、オーバーコートやレインコート、傘、乳母車など、日常的に使う品々を納めます。

明暗のある空間

玄関ホールから扉を開けてリビングを見たところです。 玄関扉の上は明るく、少し暗い廊下があり、引き戸を開けると目の前には天井の高い明るいリビングが現れます。 昼間でも明るいところと暗いところがあるために、空間に奥行きが出てきます。

アウトドアリビング

リビングとひと続きとなった屋根の無いリビング(アウトドアリビング)です。 大きな木製断熱サッシを開くとリビングとアウトドアリビングとが緩やかに繋がります。 太陽の光は東からこのアウトドアリビングの壁と、奥に植えたもみじの植栽を照らします。

外壁の木製引き戸を開けると街とつながり、街区の子供達や友人の集まる場所にもなります。 またアウトドアリビングには外部収納もあり、バーベキューやアウトドア用の椅子、小物が収納されています。

アウトドアリビングと繋がる大開口

リビングは北面ですが、吹抜けに設けたハイサイドライトから光が注ぎこみ、とても明るいリビングになっています。 アウトドアリビングと、この吹抜けリビングを視覚的に繋げるため、その境界には木製の引き違い戸が入っています。

キッチンとリビングを連続して見せる造り付の家具

キッチンのバックカウンターと、リビングのテレビ台や収納は、造り付の家具とし、一体に造りました。 こうすることで、部屋に繋がりができ、より広くすっきりと見えます。

暖炉のあるリビング

リビングには暖炉があります。 火は、見ているだけで時間を忘れ、心を落着かせてくれます。 暖炉は、火を見る装置としても充分に楽しめますが、断熱がしっかりしているので吹抜けに設けた暖炉は、家全体を暖めてくれます。

リビング・ダイニング・キッチンと繋がる開放性のあるプラン

1階は、着替える部屋と水廻り以外は、どこに家族がいてもその気配が感じられるようなオープンなプランです。 左にある和室も襖を開ければ、一つの空間になります。 家事をしていても、和室やリビングを中心に遊ぶ子供に目を配ることができます。

レンジフードが見えないスキッとしたキッチン

オープンキッチンは、曲面のある収納カウンターで手元を隠し、余計なものが見えないようにしています カウンターはアールの加工を施し、柔らかく優しいイメージが湧くようにデザインしました。 ダイニングとキッチンが視覚的に繋がるようにキッチンレンジにはIHヒーターを用い、上に吊るレンジフードをやめ、横の壁から排気するシステムを採用しました。

ダイニングは、家族が集まり楽しく食事をしたり、会話を楽しむ重要な場で、落着いた雰囲気にしたいと思っています。 そのために、天井は、あまり高くしない。照明器具は、テーブルの上の食事を照らすように、机上70CMぐらいのところに設置します。 あまり全体を明るくしないで、手元とテーブルだけを明るく照らし、陰影のある空間を作り出します。 ダイニングのペンダント照明はヤコブセン

光が注ぎこむ緩やかな階段

階段はこのダイニングの奥に設け、いつも人がいるパブリックスペースを通って2階のプライベート空間にあがります。 階段は南側に面しており、上部のハイサイドライトから柔らかい光が入るようにしました。

ハイサイドライトからの光で満たされる階段

白い壁で囲まれた階段室には反射した光が満ちています。 直接の光ではなく、白い壁に何度か反射しながら下の開口部からダイニングへと注がれます。

吹抜けのあるリビング

建物の中心のリビングは吹抜けで、2階の各部屋に放たれた開口部から覗き見ることができます。 家族との会話を楽しめ、互いの気配が感じられる家の中心です。

2階のベッドルームや子供室には大きな引き戸を設け、引き戸を開けると各部屋がつながります。

ハイサイドライトからの光が注ぐ吹抜け空間

ハイサイドライトからは南の光が入り、天井に反射して北面に位置するリビングを明るく照らします。 また窓はオペレーターによって開閉ができ、夏場には下階の空気が上昇気流となってこのハイサイドサッシから抜けていくため、 風通しが良く快適な環境を作り出します。

木の美しさを表した天井

天井は、構造材をそのまま仕上げに見せたもので、屋根裏を作らず、できるかぎり有効に空間を使っています。 連続した梁は、天井にリズムを作り出し、隣のベッドルームまで続いていくことで視覚的拡がりを感じます。

吹抜けとつながるベッドルーム

ベッドルームからは、吹抜けを介して、外の景色を眺めることもできます。

書斎コーナーのあるメインベッドルーム

メインベッドルームにはコーナーにご主人のためのパソコンスペースを設けました。 開口部からは、隣家の庭を借景としてながめることができます。 一人になって静かに考え事をする場も大切です。

将来2つに間仕切ることができる子供部屋

子供室は、今は大きなワンルームの遊び場として用い、将来子供が増えた際、分けられるように大きさを確保しました。 天井も高く、立体的に組合すことで、3部屋までの対応が可能です。 ここにもハイサイドライトからの南の光が明るく注ぎます。

洗面スペースから1階玄関へと注がれる光

洗面スペースには東面に大きな開口を設けており、そこからの光が下の玄関へと注がれます。 洗面スペースはこの開口からの光で充分な明るさがあり、朝の気分は最高です。

玄関上の吹抜けを見上げたところ