練馬の家(桐で優しく包まれた家)
- POINT
- 街にインパクトを与える木(レッドシダー)の外観
- 桐の床と天井で囲まれた暖かい家
- 中庭を中心に自然を感じる静かな家
森の中に入ると、様々な光や香り、優しい風の流れを体感します。そして静寂の中で身も心も癒され、自分自身と向き合う場を提供してくれます。この家ではそんな森のような空間をつくりたいと考えました。
外壁には木を貼りました。サイディングやモルタルの既存の街並みに対するひとつの起爆剤です。時と共に趣が出、街やそこを通る人に優しさを提供し、記憶に残るものにしたいと考えました。
内部は、木で囲まれた中庭を中心に、外に対しては閉じ、内には開いた空間です。仕上げでは、床に冬に暖かく夏涼しい桐のフローリングを、壁にはホタテ貝の貝殻で作ったチャフウォール塗料を用いました。断熱材は、古新聞を原料としたもので、家全体を木で包んでしまおうという考えです。
非常に多くの情報が飛び交い慌ただしく時が流れる現代社会において、木の森の中で静かに自分を振返り、何ができるのかを考え、行動できるような精神的・肉体的拠り所としての棲家の提案です。
木によるインパクトのあるファサード
木(レッドシダー)を道路側ファサードの全面に貼りました。
木の色は経年変化しますが、その変化を楽しむために無塗装の木を用いました。
木とガルバリウム鋼板の外壁
側面と屋根は、ガルバリウム鋼板です。用いた理由は、メンテナンスが20年フリーであり、かつ雨にも強く、軽いからです。
都内ではほとんどの地域が防火・準防火地域なので、壁にも防火構造が要求されますが、外壁の木は、防火構造認定品です。
木とルーバーと引き戸の玄関
エントランスの扉は引き戸。
2階のルーバーの奥には、デッキスペースに設けた物干しスペースがあり、風が抜けます。
ステンレスアングルの樋
玄関庇先端の樋は、ステンレスアングル。
草木が多く、樋が詰まる可能性が高いので、建物には一部しか樋を設けていません。
ヒメシャラを植えた中庭
玄関引き戸を開けると、デッキ床のある中庭になります。
気分を切り換える中庭空間
室内玄関までに至るこの中庭空間は、外出から帰ってきた時に気持ちの入れ替えができるスペースです。
半外部のこの場所で、束の間自然と触れ合うことで、気分がかわります。
光のうつろいが感じられる、木で囲まれた中庭
2階のルーバーからは日が差し込み、ルーバーの美しい影が壁に写ります。
時の流れを感じさせてくれる家族の手形
中庭には建物完成時に、家族の手形を残しました。
この手形を見ると、当時の事が想い出されます。
寝室(子供遊びスペース)、庭へと視線が抜けるエントランス
室内側の玄関扉を開けると、廊下、寝室、庭へと視線が抜けていきます。
寝るときは、引き戸を閉めて、暗室となります。昼間はオープンにして、子供の遊び場として有効に使います。
光で満たされた廊下
住宅の基本的考え方として、昼間は電気を付けないで過ごす、という事があるので廊下に関しても、突き当りの2階部分から光を採りこんでいます。
本で囲まれた仕事場(アトリエ)
1階にあるアトリエです。ここで、仕事をしています。
天井近くの窓からは、中庭の緑が見えます。
壁と天井をヒバで包んだ浴室
洗面所から浴室をみたところです。
浴室には中庭が見える窓を設けました。
壁や、天井は青森ヒバ。湿気に強く、香りも良いので、浴室には適しています。
調湿作用のあるタイルを貼ったトイレ
トイレは、家の中で一人になり、気分転換もはかれる重要な場所で、この家ではやや広めにしました。
壁には調湿効果のあるタイルをランダムに貼りました。
2階の梁を見上げながら上がる階段
2階デッキスペースと繋がるリビング・ダイニング
2階は、オープンなリビング・ダイニング・キッチンと子供室から成ります。
限られた敷地の中では、庭は大きくとれませんが、ここでは2階に大きなデッキスペースを設け、中庭の緑が眺められるようにしました。
開口部一杯をガラスとすることで、リビングがそのままデッキに繋がっていきます。
中庭と一体となったリビング
大きな木製サッシからは、1階から伸びるヒメシャラの木を眺めることができます。
またデッキスペースを木の壁で囲むことで、廻りからの視線を気にすることなくプライベートガーデンとして活用できます。
桐の床と天井で囲まれた、リビング・ダイニング
床と天井の板は桐材。
桐のフローリングは、柔らかい材で、素足で歩くととても暖かく感じます。
傷が付きやすいので、床としてはなかなか使われませんが、素足の気持ち良さは格別です。
ハイカウンターで手元を隠したキッチン
リビング・ダイニングと繋がるキッチンにはハイカウンターを設け、手元を隠しています。
カウンターのリビング側は、収納になっており、お箸やスプーン、グラスなど日頃良く使うものを収納しました。
ハイサイドライトからの光が注ぐ明るいキッチン
キッチンには南からの光が入るようにハイサイドライトを設けました。
システムキッチンは、キッチンハウス製。
壁に設けた縦スリットは、子供部屋のロフトと繋がり、子供が小さい時はロフトからキッチンやリビングが眺められるように設けたものです。
使いやすいL型のシステムキッチン
作業スペースは、家族でワイワイ料理が作れるように、幅を広くとりました。
構造材をそのまま表現した天井
キッチンの奥にはユーティリティーがあり、洗濯・物干しスペース、食品ストックスペースになっています。
また、ダイニング側には造り付のベンチとそれに続く主婦の作業机も造りました。
2階の天井は屋根の構造架構をそのまま仕上げとして表現したもので、リズム感と力強さを感じます。
柱、梁共に紀州の山長の杉を用いました。
くるみのダイニングテーブル
ダイニングは、家族が集まり食事をし、また作業や勉強をする場所でもあります。
ここには、木目が美しいクルミ無垢板のダイニングテーブルを置きました。
ロフトのある子供部屋
子供部屋は、デッキに面した南側の一番明るい場所に設けました。
勾配屋根を利用したロフトには真ん中からハシゴ階段で登ります。
2つに分けられる子供部屋
子供が大きくなったら2つに分けます。
そして、独立したら、また一つの部屋に。
デッキから見た夜景
大きな窓があるので、デッキは明るく、夜にデッキスペースで食事もできます。
ヒメシャラの木が伸びるデッキスペース
デッキスペースではバーベキューや子供のプール遊び、愛犬の庭スペースとして活用しています。
ガルバリウム立ハゼ葺きの外壁
デッキスペースの廻りの壁は、サッシ高さ(外周塀高さ)までは木でその上は、ガルバリウム鋼板。
立ハゼ葺きのリズミカルな影が、シャープで美しい。