広い縁側のある家

敷地は、美しい逗子の山々の緑に囲まれ、近くには蛍が生息する小川が流れる自然豊かな場所です。

「広い縁側のある家」と、「景色を楽しむ家」は大きな敷地を2分割して計画されました。
2つの建物が並ぶので、街並みに対して影響力があり、廻りの環境に溶け込むような色と素材を選択しました。
建物は道路から後退させて、街を歩く人に圧迫感を与えず、しかも自然素材の外観によりほっとするような場所になるよう考慮しています。
外壁は、珪藻土とレッドシダー木の自然素材による仕上げ。
自然素材は、経年変化に伴い趣(おもむき)が出てきます。
美しい建築は、永くその場所に存在することで、美しい街並みを構成する一役を担うことになるのです。
これからの時代、100年住宅と言われていますが、元(素性)の良い建築を建てていくことが我々建築家の使命なのです。

道路と建物の間は、駐車スペースとし友人、知人の来訪にも対応できます。
玄関には、屋根と連続する深い庇がかかり、入り込んだ部分に設け、外から直に玄関内部が見えないようにしています。
玄関は、内部と外部の結界であり、もっとも大切な部分の一つだと考えています。
木で囲まれた玄関部分(entrance court)に入りますと空気が変わります。

「広い縁側のある家」は、夫婦と大きな子供2人の家族構成で、やがて子供達は独立し、夫婦2人の静かな生活が始まります
1階は、その夫婦の寝室とリビング・ダイニング・キッチンおよび浴室などの水廻りで、2階に2つの子供室があります。
夫婦2人になった時でも1階ですべてが賄えるプランです。

「広い縁側のある家」は、大きな屋根のもとリビング・ダイニングがあり、南側にデッキのある広い縁側が拡がります。
木造の構造架構をそのまま表した大きな屋根のしたは、南縁側からの光と階段吹き抜けからの光で優しく包まれます。
デッキの縁側の先の庭には、低い植栽があり、木の塀で囲まれています。
木の塀で囲まれた庭は外の視界からは遮断され、落着いたプライベートガーデンになります。

部屋には余分なものは一切無く、静寂が支配する空間となるのです。

2階へ上がる階段は、吹き抜けになっており壁に反射した光が柔らかい優しい光になってリビング空間を照らします。
部屋に直に入る光ではなく、反射した間接光を取り入れることで、部屋全体に奥行きが出、精神的にも落着いた空間に変わります。