ライブラリーのある家(マンションリノベーション)
- POINT
- 従来型の間取りから、自分らしさを感じられる間取りにリノベーションした家
- 1人になって本と向き合えるライブラリーのある家
- 木で囲まれた暖かい家
住環境の良い住み慣れたマンションの1室を全面改修した、夫婦2人と愛猫の為のプロジェクトです。
拡がりと連続性をもたらす、明るく開放感のある空間と、1人になって読書に耽ることができる、静かな空間をつくり出すことをテーマにしました。部屋の真ん中がリビングで南側が和室2室という従来型のプランを変え、南側には家具で緩やかに繋がる和室とリビング・ダイニングを、北側には本の壁で囲まれたライブラリーを設け、その間をキッチンと水廻りで繋ぎ、玄関を挟んで、回遊できるプランとしました。
インテリアでは、無機質な空間から、木を沢山使った、木で囲まれたような暖かみのある家を目指しました。
性能面では、古くなった外部アルミサッシをペアガラスのアルミサッシに取り換え、外壁面には断熱施工を行い、断熱気密性を高めると共に従来からの風通しの良さを確保し、エコで住み心地の良い住まいにしました。
マンションリフォーム
年数の経ったマンションでは、断熱・給水・排水・空調と言った設備や断熱性能を向上させる必要があります。
天井が高い場合は、床を上げて排水を考慮し浴室やキッチンも移動することも可能ですが、実際は既存水廻りの位置は変えられずに間取り変更します。
断熱は、これからの省エネの住まいには欠かせない性能ですので、外部に面する壁は一度解体し、断熱施工をします。
開口部は、一番熱損失が大きい部位ですので、ガラスを断熱ガラスに変えるか、内側に新しいサッシを付けるか、あるいはサッシ・ガラス共に変えます。
今回はカバー工法といって既存のサッシの枠の上から新しいサッシ枠を被せて取り付ける工法を用いました。
サッシは、普通の性能のサッシですが、ガラスは複層の断熱ペアガラスです。
マンション規約ではサッシは共用物ですが、このマンションは完成から年数が経ち、サッシ機能も果たしていないという理由から了承を得て取り替えました。
木の壁で囲まれた玄関ホール
既存の玄関ドアを開けると、中は別世界で、木で囲まれた空間となります。 壁面収納や扉、壁も全てシナ合板の塗装仕上げで、木地を生かすような塗装としました。 正面奥の部屋はライブラリーで、クライアントの大切な蔵書をまとめてあります。 この計画では、読書を愛するクライアントが落着いてゆっくり本と向かい合えるスペースを設ける事が、一つの中心的考えにありました。 玄関からその中心的ライブラリーを見通せる事で、この家の品格を表しています。
光窓のある玄関飾り棚
玄関脇の小窓からは、淡い光が注がれます。 シューズクロークは奥行き600mmで、扉を開けると引き出しがあり、2列の収納となっています。 カウンターは、物を置いたり届け物のサインをしたりするので、傷が付いたりしないように堅いナラの集成材としています。
造り付本棚で囲まれた書斎
ライブラリーは、本の壁で囲まれています。 北側の窓には低い位置に収納付きベンチがあり、柔らかい光の下で読書を楽しめます。 入口は門型で、裏側も目一杯の書棚です。 あらかじめ入る本の大きさを測り、もっとも効率よく収まるように寸法を決めました。 このライブラリーは、納戸を介してキッチンとも繫がっていて、引き戸を開けるとリビングからの風が気持ちよく抜けていきます。 夏は、クーラーを入れないでも過ごせる快適なライブラリーです。
収納と着替えスペースを兼ねた廊下
私の設計では、着替えるスペースをまとめて玄関付近に設け、帰宅してから部屋に行く前に着替えられるようにします。 廊下は、やや広めに取りスムーズに着替えられるように配慮しました。 この住宅の扉は全て引き戸で、余計な場所を取らなくてすみます。 右の引き戸は、トイレと洗面スペースの引き戸です。
天井一杯の収納壁
玄関から廊下に入ってリビング方向を見たところ。 右の大きな引き戸の中には、今まで大切に使われてきたタンスが2つ収納されています。 タンスの大きさに合わせて、無駄なく収納をつくり納めました。 引き戸の高さを天井一杯にすることで、天井の低さは気になりません。
風が抜ける間取り
キッチンと納戸、ライブラリーは、引き戸で区切られていますが、開けるとこのように視界が開け、風も通り抜けます。 右の既存食器棚の周りも造付けの収納スペース。 既存の家具の大きさをミリ単位で測り、隙間無く収まるように壁を作りこみます。 造付け家具の最大の利点は、寸法の自由度です。 左はリニューアルしたシステムキッチン。 キッチンフードは、薄型を用いました。既存のレンジフードの外壁排気口の位置を変えずに、その穴の高さに合うフードを選定しています。
今まで使われていた愛着のある家具や電気製品等を上手く配置し、新しい空間に溶け込ませ、互いに響きあうように設計します。
ダイニングとキッチンを別けるカーブの付いた多機能カウンター
ダイニングとキッチンの間にはカーブの付いたカウンターを設置しました。 このカウンターは、キッチン側は引き出し収納として使い、ダイニング側には飾り棚やミニコンポの置場として重宝されています。 空間が滑らかに繫がるように、カーブのついたカウンターとしました。 天板はナラ集成材の1枚もので巾が広い為、写真の飾り棚としても、料理の出し入れカウンターとしても使えます。
低く抑えたダイニンクのシーリングライド
ダイニングの照明は、ルイス・ポールセン社のシーリングライト。 デザインは、デンマークの建築家アンネ・ヤコブセン 優しいフォルムで光を下部と上部にも照らします。 机の上は勿論明るいのですが、天井も柔らかい光で照らされるので、とてもエレガントなんです。
他の照明は、ダウンライトと一部ブラケットによるアッパーライト
造り付家具で区切られたダイニングと和室
南側には2室あり、6畳和室とダイニング。 和室は、着替えるスペースでもあり布団を敷いての就寝の場でもあります。 ダイニングと和室は、造り付け家具で仕切りました。 中間が開いているので、視線が抜けて部屋が広く見えます。
カーテンとレースは、バウマン製で、レースは南の日射による熱を抑える遮熱レースとしました。
ロールカーテンで仕切る和室とダイニング
就寝時には遮光カーテンを下ろして休みます。 カウンター上のテレビ台は回転式になっていて、和室からでもダイニングからでも見れます。 この収納棚もダイニング側からも和室側からも使えるように工夫しました。
景色抜群のピクチャーウインドウ
新しくカバー工法により取り付けたサッシ
ガラスは空気層を挟んだペアガラス
サッシ右上は、換気口
新しく換気口をつけようと思うと、外壁に穴を空けることになり、マンションでは許されません。
そこでサッシ本体に換気口がついているものを選択。換気口自体開閉が可能なため、気密性も向上しました。
竹(バンブー)フローリング
ネコちゃんの食事セットとバンブーフローリング
バンブーフローリングは、まさに竹のフローリングです。
竹は生命力が強く、成長も早いので、自然素材かつ資源保護という意味から使い易い材料です。
最近は、床暖房対応のバンブーフローリングも反ったり割れが入ったりしなくなり、良質なフローリング材となっています。
仕上がりも綺麗で、しかも堅い材料ですのでこれからも使っていきたい材料の一つです。
造り付収納のある洗面スペース
洗面所の中の収納関係も全て木で造り付造作工事としました。 家全体で、統一したデザインにするため、仕上げ素材の種類を少なくしてまとめる手法をとりました。
照明は間接照明で、鏡の後ろは収納です。