福岡市美術館(1) 前川國男の代表作 

九州への建築視察 まず最初に訪問したのは、前川國男設計の福岡市美術館。 前川さんが油にのった時期の秀作でした。 ここは、福岡市民の憩いの場でもある大濠公園に面して建てられていて、公園からも、道路側からも自由にアプローチできます。 入口が3か所。1階に2か所、そして2階に1か所。好きなところからアプローチできます。これだけでも市民に開かれた美術館という感じがします。 まずは、道路側からアプローチ 福岡市美術館 水平ラインに伸びるアーチの塊のサイドに前川さんがあみ出した打ちこみタイルの外壁が見えてきます。 福岡市美術館 この打込みタイルが美しい。経年変化もしているでしょうが、汚れも無く、メンテナンスも行き届いています。 福岡市美術館 タイルの貼り方も面白い。 上部は、縦横に貼らないで、斜め貼り。基壇部分は、水平強調の貼り方。 コーナーの納め方もタイルの厚みを出すと共に、縦ラインを強調し、スッキリ見せています。 福岡市美術館 内部に入りますと、低い天井の向こうに階段が見え、その向こうに中庭があるのがわかります。 福岡市美術館 階段のところに来て、大きな吹き抜け空間となり、中庭からの外光も明るく、一気に空間がダイナミックに展開します。 中庭外部のタイルの壁が、内部まで貼りこまれてきて、内部と外部をつなげます。 コンクリートのたたきはつり仕上げの壁や柱とタイルの相性が良い。 自然の素材のみで構成された建築空間は、気持ち良いものです。 福岡市美術館 ゆったりとした階段は、この建物の中心的役割をはたしています。 アーチに沿ったスチールサッシも見事 垂直に伸びる柱を強調する、スチールサッシの方立の割り方もなるほど!と唸らせます。 アールの天井とサッシのコーナー部分は、排煙開口。開くようになっています。 福岡市美術館 こちらは中庭側の外壁・サッシ部分 コンクリートはつり仕上げのアーチ状の天井が内部と外部を連続してつなぎます。 照明も打込み。 福岡市美術館 2階の天井は、コンクリートパネルで造られたアーチが連続するもの。 前川さんは、フランス建築家ル・コルビジェのところで学んだ3人の日本人の内の一人ですが、 空間構成や、アーチの連続した屋根など、コルビジェの良い影響もしっかり伝授されています。 1階の出入り口は、公園側。 公園に面して1階は、カフェ。同じ位置で2階にはレストランを配置。 公園を眺めながら、くつろげるベストポイント 福岡市美術館 こちらは公園側からの外観 福岡市美術館