ベネッセミュージアム 風景を切り取る壁

日本はむかしから木の文化であり、木を利用した開放的でフレキシブルな水平に拡がる空間がどこにでもありますが、壁という文化は近代建築以降に多く使われた要素であり、その壁の存在を大いに皆に解らせたのが安藤建築ではないでしょうか。壁の厚みはとても大切で、構造としての壁の厚みが200mmで十分なところを、柱と一体にした壁とすることで厚くしたりして、その存在感を高めています。このベネッセミュージアムは完成して20年以上経ちますが、壁を勉強するにはとても良い教材です。 風景を切り取る壁や結界としての壁。意識を壁の向こうの世界へと導くその配置計画も優れています。 宿泊部分は軸を少し振ることで、瀬戸内海が180度視界に飛び込んでくるように配置されています。 内部の吹抜け空間