日下部家住宅

飛騨高山にある国の重要文化財日下部家住宅です。明治の大火で類焼した邸宅を時の名工川尻治助が棟梁として造りあげたもので、江戸時代の高山町家造りの建築様式をそのまま用いました。梁は赤松、柱その他はです。狭い入口から入るとこの大きな吹抜けのある空間が迎えます。大きな吹抜けは冬寒いですが、ここは意匠を優先し、迫力ある大空間とすることで家の威厳を表現したのと、台所から出る煙を上手く外へ逃がすためという機能的意味もありました。 大空間を支える梁は一本の木で6間近く飛ばしています。梁の上も全てカンナで削ってあり、徹底した仕上げとなっています。そこに棟梁の熱い想いが見出されます。 通しの梁に直交する2つの梁の上部は意匠的なものかもしれません。 ハイサイドライトからの光が束の側面を照らし、リズミカルな陰影が美しい 梁は当初からベンガラに墨を入れてこげ茶に塗ったもので、暗い色が逆にを感じさせてくれます。 自然素材でできた内装は、時と共に趣を出し、落着いたものになっていきます。そして光がそれに色を添え、静寂な空間を提供してくれます。