旧三笠ホテル 日本人の手による純西洋式木造ホテル
明治38年竣工のホテル。
日本郵船や明治製菓の重役を務めた山本直良が創業。設計はアメリカで設計を学んだ岡田時太郎。
軽井沢は、英国宣教師であるアレキサンダー・クロフト・ショーが避暑地として軽井沢に住み、それを内外に紹介して
多くの外国人や署名人が訪れ、別荘を建てたことから今の別荘地としての軽井沢があるわけですが、軽井沢を
訪れる人たちの宿としてホテルは開業しました。当初はほとんどが外国人。その後政財界の重鎮が宿泊するように
なります。建物はアメリカ様式の構造を用い、様々な部位にイギリス風やドイツ風のデザインを取り入れ、全て日本人
の手によって完成させた建物で、多くの変遷を経て、残っているわけですが、今では重要文化財に指定され保護されています。
明治の人達の気迫と西洋に負けないものを造る意気込みが詰まった建物でもあるわけです。
外観
窓の白い枠とその間にはめ込まれた横使いの板張り。
窓のガラスの入る細かなデザインワークが見事。ガラスは貴重な材料であり、製作される大きさも決まっていたので、
それをどのように窓にはめ込み、洋風デザイン化していくかが、外観の印象を決定づけます。今も昔も開口部のデザインは
建物の外部デザインの肝。
屋根の軒先と棟部分の赤い仕上げも効いています。
飛び出た4角形の部分は、何とトイレが配置されている部分。やはりトイレは重要です。
中央に玄関を設けた左右に建物が回り込む配置
正面の玄関部分を奥に引っ込めることで、洋風デザインの壁で囲まれたアプローチを形成。当時は、びっくり感動するアプローチだったと思います。
玄関には庇。その奥の壁に看板。
数段あがって階段ホールです。
入っていきなり上部への視線がいく階段を配置。右に行くとフロント。左は、客室になります。
階段を登ります。
2階正面は、テラスへ出られる開口
アーチが来訪者を迎えてくれます。天井の自然木の水平材がリゾートホテル感を醸し出しています。
2階踊り場からの階段の見返し。
2階廊下。廊下の両側に客室が配置。
廊下を進んで、アーチ状のところを90度折れ曲がると、その先には庭が見えて、座れるコーナーを設置。
こういうおしゃべりができる、コーナーはとても大切だと思います。
アーチが効いています。
部屋の内部。高級ホテルで、それぞれのルームに暖炉が設置され、住宅のような落ち着く佇まい。
窓からの緑も綺麗です。
ベッドの掘り込まれたアーチの壁も何となくそこに囲いが意識されて良いですよね。
こちらは、1階のメインロビー。
重厚な木の天井、シャンデリア、フロントカウンターの家具。どれも最高の職人技が光ります。
特徴的な装飾された柱が空間を引き締めます。
正面からの模型
平面図
赤いところは、消失した部分。大きな食堂もありました。廊下で囲まれた中庭も美しかったでしょうね。