建築家浦辺鎮太郎の世界(2)独特の壁庇デザイン
RC-60型と呼ばれた倉敷レーヨン社員のための定式化された家族寮の外観写真
1階のピロティーを構成する壁、打ち放しの梁と柱、飛び出した庇。
コンクリートの重厚感が感じられるように、開口部を6角形でデザインしてあります。コンクリートの荒々しさが良いです。
下の写真は、RC-60型の現存する富山アパート
6角形の躯体の内側に直方体のサッシが組み込まれています。
低い腰壁と大きな開口部が気持ち良い。使い勝手も現代的なリビング・ダイニングのつながり
またバルコニーが無いのも特徴
次の写真は大阪ミナミにあった日本工芸館
この建物の最大の特徴は、コンクリートの壁庇(壁状の庇)が重なり合う外観
浦辺さんは、この壁庇デザインを「外部廂と呼び壁梁が日本の風土に適応するように一種の生物的な進化を行ったもの」と言われています。
また、建築を設計するときに基準となるモデュールは、京間の壁芯寸法である960、1920を基準としてクラシキモデュールなるものとして
全体をまとめています。
この土着的というか民家的というかごつい感じの外観は、僕は魅力的に感じます。
この建物、断面を見ますと、1階がピロティーで浮いています。
最上階にも横スリットが入りますが、その内部は、壁庇で覆われた半外部空間の展示室(下写真左側)
この壁庇で囲まれた半外部空間には、外部スリットからの光が反射して差し込めれるので、きっと落ち着いたスペースだったんだろうと思います。
壁庇はこれからの浦辺建築に沢山使われ、浦辺建築のトレードマークにもなっていきます。