村野藤吾 輸出繊維会館 大理石の外壁とアールのコーナーがあるサッシによる洗練されたオフィスビル

大阪肥後町にある輸出繊維会館は、地下にホールや会議室を設けた会館、事務所です。まずは、その外観のデザインに驚かされました。外壁はイタリア産のトラバーチンで、そこにコーナーがアール加工された洗練されたサッシが並びます。 1階の部分が壁となり、開口部が無いのは、天井の高い地下の会議室・ホールを半地下としているためです。その壁のお蔭で、地面にどかっと座っているような安定感があります。この現代でも十分使えるデザインの建物が竣工1960年というから驚きです。設計は村野藤吾。 コーナーアールのサッシはステンレス製。上下に分かれていて、上の部分は開かないフィックス窓。下の3分割された窓は実は引き戸になっていて、事務所内に新鮮な自然の空気を取り込めるように配慮されています。 ざっと見た感じはシンプルなんですが、細かく見ていきますとサッシ廻りの水切りデザイン、サッシと外壁トラバーチンと雨水処理を考慮したディテールに惚れるような納まりが見えてきます。外壁トラバーチンは2階より上はサッシと同じ面なんですが、1階廻りは、柱型のように微妙に壁が後退して、そこに影を作り出します。地面と接する部分にまでその細かさは出ていて、柱型と壁の段差コーナーの面の処理、巾木部分を微妙に傾けた造形など、勉強になるところは沢山あります。