村野藤吾 輸出繊維会館 豪華客船の階段を思わせる優雅な階段と繭から連想した手すりデザイン

さて、輸出繊維会館には2つの玄関があり、一つは半地下にある会議、ホールへの入り口、もう一つは事務所階への入り口です。有機的な庇のある会議室の玄関を入りますと、地下に降りる幅の広い階段が待ち構えます。壁は木練り付け合板、床は絨毯で、これまた手すりのデザインが凝っています。 階段踊り場から下を見たところ 階段の内装 半地下ホール前室から階段を見たところ この生き物のように滑らかに造られた階段手すり、手摺子と手摺子の間は繊維の元である蚕の繭をモチーフとしたデザインで、まさに村野さんの世界です。 固いステンレスと真鍮が手すりの最後のところでくねり踊るように終わっています。なんとも優雅な手すり。 階段の裏は白で、角は曲面。階段の段と側面にははっきりと輪郭がわかる黒い石が使われています。柔らかさとシャープさを持つデザイン 階段を降りて右手にあるのは会議室の前室 天井は低く抑えてありますが、フラット天井ではなく、照明が入るところが柔らかい曲面が描かれていて、何となく包まれるような暖かみを感じます。壁も緩やかにカーブしています。これは繭の中に包まれている感じなのかな。 前室と階段ホールを軽く仕切る方立も村野デザイン 低く座り心地が良いソファーが並ぶ広い前室。曲面の低い天井と低いソファーですが座ると、目線も低くなり、どこか和室を感じる落ち着いた空間となっています。