アルヴァ・アアルトの自邸 木と煉瓦とコンクリートによる素朴で流行を超えたデザイン
アルヴァ・アアルトのの自邸です。大きなアトリエ事務所ができるまでは、この自邸が、家族の家であり、事務所でもありました。1936年の完成。アアルトが建築に課した必要条件は、「建築における唯一の目標は自然に建てるということだ。やり過ぎてはいけない。正当な理由が無い限り何もすべきではない。余分なものは全て時間と共に醜くなる」ということです。
さて、入り口。建てた当時は自然が多く残る場所で、2階からは海が見えたそうです。道路側からは、完全にプライバシーを守る壁で覆われています。一方反対側は大きく開口部が設けられて外部に開いています。
道路側外観
手前右がガレージ。そして壁の入り隅が玄関扉
白い煉瓦ブロックの壁、細い木板の壁で構成されたシンプルな外観
窓が少なくほとんどが壁で構成されており、その壁の素材感が引き立ちます。
数段の石の階段を昇り、玄関扉へと導かれます。
建物をぐるりと右に廻ってみますと
大きな開口部が現れます。
これは2層吹抜けのアトリエにある大開口。角の開口部はアトリエ一番奥にある、アアルトの席があるところ
そして大きく開いた面になります。開口部はリビングの窓
右のピロティーは、屋根付き屋外ダイニング。ダイニングからの扉があり、ダイレクトに繋がります。気もち良い空気の中で家族と摂る食事。想像しても楽しいじゃないですか。
左の白い外壁の部分がアトリエ事務所で、右がプライベートな住居部分
その2つの要素を2階のテラス、リビング大開口が繋ぐ構成。2階の大きなテラスは夏の太陽を一杯浴びる日光浴も楽しめます。
1階の大きな開口部は、左2つがリビングで、扉を挟んで右がダイニングの開口
扉がいくつかありますが、常に外部の庭に出られるように考えられています。左白い壁のアトリエにも扉がついています。アトリエからも気分転換に庭に出られます。外とのつながり、自然との一体感を本当に大切にしています。
どこか船、ヨットをイメージさせる形態です。日本のお寺に行きましても、広間から日本庭園をのぞむ時、あたかも舟から水面を眺めるように考えられていますが、このアアルトの自宅もどこかそのような感じを受けました。
目の前には学校の校庭があり、視界はいまでも拡がっています。
細かい木の外壁は繊細
周りの樹木と溶け込む木の外壁
全体模型です。