アルヴァ・アアルト セイナッツァロの役場 議会場に至る心を鎮める階段アプローチ
さて、ここから議会場に至るアプローチがまた見せ場の一つです。事務室のある階は、町の住人が訪れる開かれた場であるので、中庭に思いっきり開放された明るい空間でしたが、この階段から上は、村の役人さん達が会議を行う大切な領域。その会議場に向かう階段は、床、壁が煉瓦で囲まれ、天井は木の天井。そして外を見る窓は無く、ハイサイドにあるスリット開口からの光が注ぎ込まれます。自然と気が引き締まるアプローチです。
天井が明るいので、その光に導かれるように昇ります。
一度この踊場で向きを90度かえてさらに階段
左側の天井には細かい木のルーバー状の庇が付き、床の高さに合わせるように昇っていきます。手すりの下の四角いパネルは暖房機
ハイサイドライトの開口は、外部から見ると、大きな壁に開いたスリット開口
奥から振り返って踊場を見ます。下の写真の右側は議場に入る入り口。
もう一度振り返りまして、さらに3段階段を昇ると突き当ります。
その左には木のハンガードアが付いたもう一つの入り口があります。
こちらの入り口は議会の傍聴席の出入り口となります。
メカニカルなハンガードア
そして議会場に入りますと、高い天井のある煉瓦で囲まれた静かな佇まいの空間が目の前に現れます。
写真奥が、傍聴席部分
このように、この建物のメインである議会場ですが、そこに至るまでの廊下、階段には人の心を動かすアルヴァ・アアルトのきめ細かい建築操作がなされ、かなりのエネルギーをつぎ込んでいます。いかにそのアプローチの設計が大切であるかを、身をもって感じることができます。