アルヴァ・アアルト パイオミのサナトリウム 松林に囲まれた患者重視の診療施設
フィンランドパイオミにあるサナトリウムは、アルヴァ・アアルトの設計による結核患者の為の療養施設として設計されました。1933年完成時には結核という病は恐ろしく、世界に蔓延していました。その患者を迎え入れ治療するのがこの建物の目的です。その後、結核患者は減り、今も病院として機能しています。
結核治療には綺麗な空気や、暖かい日の光が必要で、広大な松林の中に建てられています。
濃い緑の松林の中に見える白い建物群
訪れる患者を優しく迎え入れるような扇形のエントランス配置
右の高層の病室は視界に入らず、正面左の食堂棟の低い建物がまず目に入り、次に正面が見えてきます。全体が白いモダニズム建築なんですが、アアルトはそこに優しいオーニングや、有機的なエントランス庇を設け、建物の持つ硬さを取り除いています。
進みますと大きなエントランス前の広場に出てそこからエントランスへと向かう平面計画
大きな空が迎えてくれます。
右の高層棟もなかなかの迫力ですが、空が沢山みえるので圧迫感はありません。
高層病棟の端部にあるベランダのデザイン
そして高層病棟からは広い広場を介して松林が拡がります
白い建物の中に色鮮やかなオーニングを設け、建物外観端部には曲面を持たせることで建物に柔らかさを与えています。
最上階の庇の曲線美も注目です。
このパイオミのサナトリウムは北欧における機能主義のモダニズム建築の先駆的建築ですが、アルヴァ・アアルトの目線は常に患者の目線であり、いかに快適に療養生活がおくられるかを考えこまれた建築です。アルヴァ・アアルトの人柄が感じられる建物になっています。