フィンランドの建築家ユハ・レイヴィスカ ミュールマキ教会(3) 透明な折り重なる神の光を感じる教会
ユハ・レイヴィスカの設計したミュールマキ教会は、北欧の透明な光を見事に建築に採り入れた秀作でした。重なり合う壁によって光が見えます。薄い壁のエッジが、鋭く光を捉え、奥行のある祭壇を作り上げています。ここでは、天井から下げられたストライプのタペストリー、淡いベージュの十字架が刺繍されたタペストリーが、空間に柔らかさと優しさをもたらしています。
トップライトからの光も決してきつい感じではなくて、柔らかい光です。
祭壇の折り重なる光の壁
重なり合い貫通する壁から生まれる無数の光。まさにユハ・レイヴィスカの真骨頂とも言える光の捉え方です。
サイドの細長いスリット開口からの光が壁に当たり、我々に光を認知させます。
祭壇から見返しますと、その壁には下から上まで真っ直ぐに伸びるスリット開口が、まるで森の樹木のように並びます。
祭壇の脇に置かれた洗礼盤。これもユハ・レイヴィスカの設計。建物の抽象化されたミニチュア版
玄関側の壁
そしてパイプオルガン側です。
パイプオルガンの横には、聖歌隊の座る席が並びます。
高くなったその席から振り返ったところ。
天井からランダムにつりさげられている照明も全てユハ・レイヴィスカの設計
パイプオルガンとは反対側の面
大きな壁のような引き戸が付いています。
この引き戸は、壁に引き込まれて隣の部屋に繋がるしくみ。多くの信者さんが集まる際には壁の中に引き込まれて、さらに大きな聖堂空間となります。
天井のハイサイドライトは、2つの部屋にまたがるもの。それにしても透明感が感じられるデザインです。
こちらはその大きな扉の反対側の部屋である教区センター。普段は集会場や講義室として使われています。
ここミュールマキ教会を訪問する季節や時間によって様々な光を体感させてくれる素晴らしい光の建築でした。