美しい煉瓦造 長崎平戸 田平天主堂
美しい海が見える丘の上にこの天主堂は建っています。
長崎県平戸市田平にある、田平天主堂。1918年建立ですからもう100年経ちます。
構造は煉瓦造と木造。外部には、イギリス積みの煉瓦が、正面・側面・背面で貼り方を変えて積まれています。
設計・施工は教会建築を得意とした棟梁の鉄川与作。この田平天主堂は、鉄川与作作の教会の中でも、最も美しく、優れた作品とされ、
国の重要文化財にも指定されています。
信徒の人達によって丘の上の土地が開墾され、その上に建っています。この田平天主堂に向かうカーブのある道路から目の前に表れる側面のファサードは、感動を与えてくれます。
煉瓦の赤褐色の中に、うすい緑色の木板の側面が見事に融合した立面です。全部を煉瓦にしないで、木外壁を取りいれたことで、側面ファサードがグッと引き締まって見えます。
車を降りて、ぐるりと回り込んで歩きますと、信徒さんたちの墓地があり、やや下ったところから田平天主堂の正面へと上る階段が現れます。
この階段下から見る天主堂は、格別な美しさ。
階段の軸線と建物の軸線は微妙にずれていますが、それがまた良いかと。
階段を登ります。
正面に表れる煉瓦のファサード
マリア様の造を中心にこちらは対象形。
凝ったデザイン。ギザギザの飾り。煉瓦もただ積んでおらず、ストライプ状になっています。このストライプが入ることで、壁面にリズムが生まれます。
少し黒が入る煉瓦は、ススを塗った煉瓦で、コーナーを引き締めます。
正面上部には八角形のドームが載り、鐘塔を備えます。これは日本独特というか棟梁鉄川与作の見事なデザイン。
側面に回ります。
陰影がくっきりと出る、段差のある立面
教会内にサイドから光を採りいれる連続する窓
こちらは背面。内部では一番奥にあたる祭壇を囲い込む壁です。
どの方向から見ても絵になる建物、裏表のない建築。丁度良いスケール感。
屋根の瓦も見事です。瓦屋根の高さが異なるところは、煉瓦壁を立ち上げて分節するなど、難しい造形の中で綺麗に屋根も納めています。
いつまでも見ていて飽きない建築とはこういう建築を言うのでしょう。愛着が湧きますよね。