丹下健三設計の旧電通本社ビル 重厚感のあるデザインは、ディテールに宿る
最近の建築の多くは、表層建築で軽快かつペラペラ感をどうしても感じてしまいます。
ガラスカーテンウォールのディテール、表層の表現は、もう行きつくところまで行っている感じ。
新しくできたビルを見ても、確かにディテールは美しいのですが、それがどうしたの?と思えてきます。
この解体される旧電通本社ビルのような、単純でありながらも存在感が漂う建築は、最近の潮流からは見られません。
柱とハンチの付いた梁の連続ファサード
開口部サッシは、その構造フレームの室内側にはめ込まれているので、梁や柱の幅がそのまま奥行きに反映されて、陰影を作り出します。
その深い陰影がこの建物を特徴づけているわけです。
さらに柱をよく見てみると、真っすぐな長方形ではないのです。
地面と接っする柱の足元を見てみますと、微妙に曲線になっています。
巾木の納まり
その柱がずっと立ち上がっていっています。
梁と柱の接合部も単純ではありません。
サッシの方立と横桟のデザインはどこかコルビジェ
柱と梁の単純な組み合わせだからこそ、細かいディテールが効いてくるんです。
単純な形態の建物を取り巻く外構はそのモダニズム建築とは相対する有機的な造形
波立つような床石のエッジ
植栽との連続性
床石による波の表現は初めて見ます。
サッシと床、柱の関係
学ぶべきところの多い名建築でした。