福岡市中央区にある和菓子屋さん「五島」(1) 小さいながら存在感抜群の建築
福岡市中央区にある和菓子のお店「五島」
この小さな建築には、練りこまれた建築家のディテールがあちらこちらに散りばめられています。
設計したのは、柿沼守利氏。
ファサードです。
黒いコンクリートの建物ですが、1階店舗廻りは開放的
それに相反して、2階部分はファサードに窓が無い重量感のある塊です。
真ん中に四角い掘り込みがあるだけ。窓ではありません。
しかしながら、そのコンクリートの仕上げ表面を見ますと、細かな凹凸があります。
この凹凸によって、画一的なファサードにならず、陰影が生まれる趣を感じさせる面になっています。
1階は、和を感じさせるディテール
まずは、庇によって、深みを演出。その庇の上には木看板がさりげなく置かれます。
その庇も野暮ったいものではなく、どこまでも繊細なスチールによる庇です。
庇の側面。
庇には穴が開き、そこに四季を感じさせるもみじが植えてあります。
ファサード1階部分
お店には直接はいるのではなく、中央の階段を3段登ります。
前面の植栽部分は、廻りをやはり黒いコンクリートで20~30CMほどぐるりと廻して立ち上げています。
要素と要素の分節。
余計な要素を挟まないディテール
ガラスから見える室内。
ガラスが外壁とほぼ面の納まりです。
だから綺麗にすっきりと見えるのですね。
反対側のファサード
手摺も繊細。細いスチールの手摺子に握りやすい木の手すりトップ
階段と土間と、植木の縁。そして開口部をぐるりと廻るコンクリートの額縁。サッシの枠が見えないので、コンクリートにそのままガラスがはめ込まれていますね。
洗い出しコンクリートの階段の側面も黒い模様付きコンクリートです。シャープだわ。
よく見ますと、コンクリート打設のためのPコンには、青い蓋(石?)がはめ込まれています。
コンクリートだけど、コンクリートに見えない。