黒石ほるぷ子供館(1) 建築家菊竹清訓設計のプロ―ポーション抜群の平屋建築
青森県黒石市に建築家菊竹清訓が設計した図書館 黒石ほるぷ子供館を訪ねました。子供館は、子供の為の図書館であり、遊び場でもあります。
黒石市の温湯字派の小さな温泉街に入る手前にあります。
道路から進んで行くと、その道路の突き当りにプロポーションの良い平屋の切妻屋根の建物が見えてきます。
低い屋根が正面に見えてくることで、最初の建物との出会いが、まず気持ちを揺さぶります。
切妻屋根の本棟とその横右手に繋がる渡り廊下の屋根。プロポーションがとにかく美しい。
よく見ますと、渡り廊下の屋根の水平ライン、本当手前にある水飲み場の白い腰壁の水平ライン、建物奥に見える白い壁の水平ラインが
、建物をよりシャープに低く、大地に寄り添うように見えます。
廻りはリンゴ畑で、菊竹さんは設計依頼を受けて現地を見たときに、このリンゴ畑に寄り添うような建築を思い描いたそうです。
屋根には彫刻家伊藤隆道氏の動く彫刻がついていて、普通の建物では無いということを表現。
子供館の開館中はこの彫刻が動いて、子供達に知らせていたようです。今は動いていませんでしたが、発想が素晴らしい!
この建物は1975年竣工ですから、48年経った今もバリバリの現役で建っています。
本棟と渡り廊下の間からは、引き込まれるように奥にプールが右手に見えます。
今は正面が玄関ですが、竣工した時は、この奥が玄関で右手のプールと奥のリンゴ畑の木々を見ながら軒下の通路を進んで行ったのでしょうね。
プールを囲んでの雁行する壁、奥に見えるリンゴの緑。雨落ちの石の溝、全てが美しい。
手前右手の倉庫棟の屋根を越えて通路を進むと、視界がパッと開かれて、気持ち良い。
通路の先のプールを囲む壁も切れていて、さらに先にも壁が見えます。どんどん視界が拡がっていくシークエンスが歩いていてとてもワクワクします。
リンゴ畑を背にしたプール部分。今は予算の関係から使われていないそうですが、もったいないなぁ。
そしてこちらが以前使われていた玄関。玄関からの見返しです。
建物は、壁がコンクリートで屋根が木造の混構造。コンクリートの壁は、基壇のようなものに乗っかっていて、仕上げは荒削りの存在感のある仕上げ。
後ろに廻りますとこんな感じ。壁と屋根の建築です。屋根の見付は細くシャープ。手前の広場も安心して遊べます。
反対方向から、正面に向かいます。
庇の出が大きく、しっかりと外壁を保護。こちらの壁にも出入りできる扉がついています。
右の林には昔は遊具もあり、中で読書の飽きた子供が外に遊びに行くことも考えて作られたのかも。
正面側にもどります。
見返り
この広い半外部空間が素敵なんです。
この大きく抜けのある空間が気持ち良い
もう一度正面外観
こちらは、渡り廊下
今は、渡り廊下の先は倉庫になっていますが、当初はこの先に公民館の計画があり、そことを繋ぐ廊下として
設計されたようです。