八ヶ岳美術館で開催中の「建築家村野藤吾と八ヶ岳美術館」に行く。

建築家村野藤吾が設計した八ヶ岳美術館にて開催中の「没後40年 建築家村野藤吾と八ヶ岳美術館」展を見に行きました。 八ヶ岳美術館 京都工業繊維大学の松隈洋さんの、村野藤吾の建築と思想の講演会も聞きました。 八ヶ岳美術館は、地元原村出身の彫刻家・清水多嘉示が自らの作品を村に寄贈したことがきっかけになっています。 原村では、村の各所から発掘された縄文時代の考古学資料の展示も併せて計画。清水氏と村野氏の夫人同士のつながり、 本人同士も日本芸術院会員というご縁から村野さんの設計となりました。 八ヶ岳美術館 設計から工事の期間は、村野さんが87歳から88歳にかけての最晩年の時期にあたります。 まず敷地の選定にあたっては美しいカラ松の林を損なう事の無いように、そして建物が自然の中に孤立して 自然と異形な形で存在する事を排除する考え方、そして彫刻の廻りをぐるりと回れるのが理想の展示方法だと考え、 ドームの連続した形態が生み出されたようです。 八ヶ岳美術館 また朝倉美術館のように彫刻を展示するところには建物の線が出るのを避けるという意味から彫刻展示のところには 円を、絵画などの展示には直線の壁をあて、次第に現在の形へと収束していったようです。 予算は少ない中で、外壁には現場で調合され製作されたセメントブロックを用い、工期短縮を計るために屋根のドームは 東京のプレキャスト工場で製作されたものを、運搬可能限界の11トンに納まるように考えられたスケールで設計されています。 八ヶ岳美術館 車でしか行けない場所にありますが、駐車場を下りて、まずは、林の中を歩いていきます。 その林の中にもいくつか彫刻が点在されており、五感で自然を感じながら玄関へとアプローチしていきます。 八ヶ岳美術館 やがて、林の中に溶け込むような丸い屋根の建物が見えてきます。 八ヶ岳美術館 大きな面ではなく、いくつかの面に分節された建物なので、威圧感や違和感は全くなく、ただ林の中に佇む建築という感じです。 八ヶ岳美術館 やがて、全体像が見えてきますが、ここでも小さな塊の集合体といった感じ 八ヶ岳美術館 路に沿いながら右手に建物を見て進んでいきます。 八ヶ岳美術館 正面に外壁の連続のような半円形の壁。これで視線を受け止めます。 八ヶ岳美術館 さりげないエントランス 八ヶ岳美術館 右に玄関 八ヶ岳美術館 玄関の取っ手は、訪問者が最初にこの建物とふれる場所 村野さんは、この最初の取っ手から風除室の取っ手に至るまでデザインを熟考されていたそうです。 八ヶ岳美術館 分節されながらも連続する外壁   八ヶ岳美術館 1枚1枚貼られたセメントブロックが優しい。 内部は、分節ではなく、おおきな一つの空間 何といいましてもこの柔らかいドレープのついた天井が内部の最大の特徴です。 固い構造や、設備配管はこのカーテンの御陰で見えません。 照明もフィルターを通す感じで優しい光へと変わります。 八ヶ岳美術館 谷村美術館も素晴らしかったですが、20年ぶりに訪問したこの八ヶ岳美術館も多くの事を学ばせてくれました。