村野藤吾 近三ビル(旧森五商店東京支店) (2) 煌びやかなモザイクタイルの天井があるエントランスホール

村野さんの設計した近三ビルの1階エントランスホールです。 近三ビル 外部は赤褐色の落ち着いた街に溶け込む落ち着いた外観 その外観からは全く想像ができない内部エントランスです。 目に行くのが天井 天井にはカラフルですが品のあるモザイクタイルが貼られています。 照明はペンダント照明 近三ビル 壁は、石の目が横に流れるトラバーチンの磨き壁。 奥からの見返し。 手前の天井は、グレー系のモザイクタイル 外部入口の方は、明るい赤、黄色の暖色系のモザイクタイル 近三ビル さらにアーチの天井が、途中で方向を変えてデザインされています。 近三ビル 天井の形態だけでも相当な検討がなされたことがわかります。   近三ビル アーチとモザイクデザインの向きを変えた天井部分 近三ビル モザイクタイルの中にもまた変化のある紋様が埋め込まれています。 近三ビル 奥のグレーのモザイクにも紋様が 近三ビル 何気なく使われるエントランスホールですのでよくよく見ないと、この細かい文様は目に入ってきません。 しかしながら、一つ一つの手抜きの無い手づくりの天井が、無意識の中に落ち着きをもたらしていると思います。 三越劇場の内装もそうでしたが、人の手がすべてに入っていて、それを目にすることができる。 意識してなくても目にははいってきますよね。 それらの集積が自然と人の心に安らぎを与えているのではないのでしょうか。 機械的な経済優先の直線の意匠ではなく、人の手触りが視覚に訴える。 このあたりが、名建築として残る一つの要因ではないかと思いますね。 村野さんの村野さんらしいところが出ている内部階段。 このような手摺デザインは村野さんしかできないでしょう。 工芸品のような手摺です。