石水館(芹沢銈介美術館) 紅雲石と水と木で構成された白井晟一の代表作のひとつ

静岡県の登呂遺跡のすぐ近くにある染色家芹沢銈介の作品を展示した美術館を訪問 もう30年以上前に一度来ましたが、それ以来。 その建物のインパクトは、昔と変わっていませんでした。 設計は白井晟一 登呂遺跡に至る道を歩いていくと、石の塀が見えてきます。遺跡と連続する割肌の石は紅雲石 その石塀伝いに歩くと、さりげない入口が見えてきます。建物は樹木に隠れるようにさりげなく建っています。 石水館 真っすぐ進むと、2段目の石の壁があり、そこに開口が放たれ、植木を介して池が見えます。 ここからまったく空気感が変わります。 池の前に形の整えられた植木があるので、中をすっと見通すことはできません。ただ、静寂さは伝わってきます。 石水館 何とも重厚感のある石の積み方。そして両側の照明 石の重みは、小口に現れます。タイル状のものだと9mmぐらいになって、あー、貼っとると感じるわけですが、この壁のてっぺんの石をみるともう無垢材。 積む職人さんも大変ですが、ここに石の塊をもってくるので、まるで無垢の石の全て積み上げたように人h感じるわけです。小口命です。 この塀の右側には水盤と落ちる滝 静寂の中に水音が聞こえます。 照明は埋め込まれた感じ。 石水館 この水盤の反対側がエントランス。重い石の庇が迎えてくれます。 石水館 エントランスの振り返り。風除室の先の扉を開けるとエントランスホール。ナラの木のごつい梁天井が迎えてくれます。 石水館 エントランスホール。内部はここだけ撮影が可能 思い連続した梁が見える天井、ぬりかべ、絨毯の床ですが、壁と床との接合部には磨いた石の巾木があり、床も石の縁取りがされています。 梁も構造だけではなくて、エッジ部分が削られていて、職人さんの手の痕跡が残ります。 石水館 部屋によって天井の高さや形状が変わっていきます。 中庭には大きな池があり、その池に対してアーチの開口が並んでいますが、展示室はカーテンが掛けられていて、中庭を見ることはできませんでした。 白井晟一と施主の芹沢銈介は、建築と展示物との関係でかなり仲が悪くなってしまいました。 確かに中庭に開くアーチ開口は、光が入り、作品に良い影響はあたえませんし、室内に設けられた噴水のある水盤も湿気の関係から作品に良くない。 いろいろありますが、どちらも己の主張を突き進んだ結果、このような展示になっています。でも建物の展示作品もどちらも素晴らしいのです。 展示室の中にある特別室。そこから見える水のない中庭。ガラス壁の中にアーチの開口枠が浮かび上がります。床がそのまま庭と同じレベルでつながっていきます。 石水館 石の壁で囲まれた日本的な中庭というのもなかなか面白い 奥行きがあり、とても静かで落ち着く中庭です。 石水館 こちらは、最後のショップを出て、もう一度池のある玄関へと向かう道 屋根を支える石の柱が良いです。 石水館 石の壁と柱とスリット開口部 石水館 もう一度入口までもどり、中庭の水盤を眺めます。 石水館 噴水の音が静かに響く空間 石水館