柿沼守利氏設計の光圓寺 他を圧倒するコンクリート建築
福岡天神を散歩中、出会ったコンクリートの塊
これは、光圓寺です。白井晟一の元で学んだお弟子さんの柿沼守利氏の設計
もう、外観を見ただけで、この設計者は只者ではないと解ります。
杉板を用いた本実加工の打ち放し。道路交差点の外壁に設けられた丸い穴
コンクリートの壁の上の黒い金属の塊。
そして高い塀に放たれた入口から見える庭とその先の開口部。
どれも静かですが、こちらの心に訴えてくる何かがあります。
型枠の杉板は、1階と2階でその木の方向を変えて、変化を外観にもたらします。
こうすると高いコンクリートの塀も威圧感が無くなる。
杉板と杉板のすき間からこぼれたコンクリートのノロは、そのまま削らないで表現として残しています。太陽の光が当たることでより陰影がもたらされます。
型枠を止めるPコンの穴も気にならない。
こちらは玄関
入口から中を見ると、正面に大きな両開きの扉が見えます。
この中庭も凄い。都心にありながら一歩入った瞬間に静寂がよみがえります。
樹木の影がコンクリートの壁に当たり美しい。
そして、入口近くには水盤が貼られています。
このデザインは、白井晟一の長崎親和銀行大波止支店のエントランス廻りに通じます。
更に寄ります。
コンクリートの出隅のコーナー部分には何と真鍮のコーナー材が撃ち込まれていました。
その真鍮エッジから内側は、仕上げを変えてビシャン仕上げになっています。
コンクリートをノミで叩いて仕上げるビシャン仕上げ。素朴ですが人の手が入っているので趣がでる。
見上げるとその上のへこんだ部分のコンクリートの仕上げは、杉板本実ではなくて、フラットなコンクリート仕上げに変えています。
外と内との結界ですね。
スパッと切られるエッジの心地よさは、このディテールから生まれます。
さらにこの中庭で振り返ると、穴の開いた交差点側に鐘塔がありました。
なるほど、あの外に空いた穴は鐘の音を外に響くようにあけられたものだったんですね。
次回は何とか内部を拝観させていただきたい。