佐賀県立博物館 コンクリート造、PC造そして鉄骨造の混構造によって生み出される、ダイナミックな空間
佐賀県立博物館です。
竣工は1969年 設計は第一工房と構造設計の内田祥哉氏
日本モダニズム建築DOCOMOMOにも選定されている建物
広い佐賀城公園の一画にこの建物は、浮いたように存在しています。
遠くから目を引くのは、飛び出したフレームと、浮いている箱。そしてピロティーの列柱です。
モニュメントのような外観
この建物は一瞬鉄骨造かと思いきや、実はコンクリートのコアの周りをPCコンクリートのグリッド化された構造体が取り囲み、
その上部に鉄骨フレームが載るという混構造の建物なんです。
その構造のおかげで、1階は壁が無く、自由に人が行き来できる空間を創り出しています。
建物の構造の核となる十字型のコンクリートはそのまま内部空間にも反映されています。
平面
飛び出した部分は、十字型コンクリートの先端部分。ダイナミックです。
壁全体がキャンチの梁なんですね。
ピリティーと、奥に設けられたエントランス
見上げると、その天井の構造架構がそのままデザインとなっています。
十数メートルはね出した床。
ここを見るだけで、この構造の素晴らしさが解ります。
普通は、柱があって、柱と柱をつなぐ梁があって、その上にスラブが載ります。この柱のない飛び出したスラブをどうやって構造的に持たせているのか。
重量でたわむことなく、梁が水平を保ちながら、このダイナミックな屋根下空間を作り出しているのか。
よくよく見ると、構造の素晴らしさが解る建物なんです。
内部は、十字の交差する真中がホールとなり、そこから4方に階段が伸びていきます。
ぐるりとバルコニーがホールを囲みます。
上部にはコンクリートの梁が、そのまま見えます
十字の廻りの箱が展示空間
十字の中を貫通する階段
階段からホールを見返す。
階段壁のコンクリートはつり仕上げ。手すりはワイヤーを束ねたもの。恐れ入りました。
展示室
こちらのフロアーまではPC
展示室内の吹き抜け空間。階段を登ります。
佐賀県全域の歴史に係わる展示がなされています。
構造体そのものの整然とした美しさをそのまま表現
最上部の大空間
こちらは鉄骨の屋根が架かります。
スペースフレームを用いることで、柱のほとんどない、大空間を作り出し、どのような展示も可能な、展示室としての利便性を生み出しています。
十字の飛び出した部分にある開口部から佐賀城公園を見る。
見れば見るほど、凄い建築でした。
こちらは、博物館の隣に増築された美術館のピロティー
美術館のホール