アルヴァ・アアルト ユベスキュラ アルヴァ・アアルト美術館 アラビア社製の白い煉瓦タイルと半円柱ボーダータイルによる縦ラインを強調した外観
ユベスキュラ教育大学のすぐ近くにある、アルヴァ・アアルトの建築作品を展示する美術館で
す。1973年竣工のアルヴァ・アアルト75歳の時の建物で最晩年の作品の一つ。扇形の平面、ハイサイドライトからの光をふんだんに採り入れた明るい展示室、流れるような平面構成、動線計画、暖かみを感じるインテリアデザイン、そして、白い外壁。アルヴァ・アアルトの集大成のような建築です。
晴天の青い空に映える白い外観
白いボーダータイルは地面までいかず、コンクリートの基壇までで止まります。こうすることで、よりそのボーダータイルの部分が強調されて見えてきます。地面まで下ろしてしまうと、どうしても重くやぼったくなりますよね。しっかり基壇とその上の壁でデザインを分ける。これもアルヴァ・アアルトの設計手法の一つ。
大きな白い塊の上に3列に並ぶハイサイドライトが特徴的な外観です。
道路に面する部分は、大きな白い壁で、ダークグレーのエントランスのみがその白い壁に設けられています。
白い壁は陶磁器で有名なアラビア社製の煉瓦タイルと半円柱の白いボーダータイルで、外壁から飛び出したボーダータイルの影が壁面に写り、陰影が出た深みのある外観となっています。
側面に廻りこむと内部機能に合わせて木製サッシの開口部が並びます。
後ろのほうのバックヤード部分の外壁には半円形ボーダータイルは用いられていません。機能がそのまま外観に表現されています。
また2階の開口部には一部縦ルーバーが取り付けられています。
これは、道路正面側から見た時に、この上階のサッシを見えづらくして、あくまでもボーダー面が続いていくように見せたかったからではないでしょうか。
この角度から見ますと、先ほどの上の階のサッシが縦のルーバーで見えなくなります。
そして白い壁の正面エントランス側にもう一度戻ります。
いくつかのアルヴァ・アアルトの設計した建物を見てきましたが、このエントランス部分を強調したデザインは、アアルトが多くの建物で取り入れた設計手法の一つだと解ります。
やっぱり、人と建物が接するエントランスは重要です。
玄関扉の取っ手はアルヴァ・アアルトのデザインの例の柔らかい握りやすい取っ手
優しく人を迎え入れます。
敷地を回ってもうひとつ気が付いたのがこの境界線に建てられたフェンス
建物に呼応した縦を強調した木フェンス。
低い太陽の光により生み出された木陰と実によくマッチしていました。