中野本町の家 伊東豊雄の中庭を囲む静かな家
私がまだ大学に入りたてで、建築の何かも解らなかった時に本で見て印象に残った建築の一つがこの伊東豊雄さんが設計した中野本町の家でした。伊藤さんのお姉さん家族の家。
土に接っする中庭を前方後円墳のような形を持つ白い空間が囲みます。壁も天井も白で、中庭に面した壁にはあまり開口部は無く、その分天井からのトップライトからの光で内部が満たされていました。円形をしているので、先が見えない永遠性。そして光の筋に照らされた壁と天井。空気というか時間が止まったような空間の写真がとても印象に残っています。外に開く建築ではなく、内側へと閉じていく建築。そこには住み手の強い精神性も感じます。住宅は住む人の家に対する想い、家族との関係性、その生きた時代の関係性により、生まれてくるものですが、この家もご主人を亡くされた女3人家族のそれぞれの想いを載せて造られた建築でした。今は壊されて残念ながら、その空間は体感できませんが、とにかくも今回の日本の住宅展でこの家にお目にかかれたのは嬉しい限りです。
スタディースケッチ