諸井邸

バウハウスの出身建築家山脇巌の設計した諸井邸を見せてもらいました。移築されてはいますが、その空間の力強さは、充分堪能できました。 これは、旧応接室ですが、畳3畳がコの字に組まれ、真ん中に机(囲炉裏)を置き、畳部分に腰掛けるという設計で、1間半の床の間があります。反対側は、大きく庭に開かれた開口です。天井は、舟底天井。太い床柱や、畳を囲む縁ががっちりとしていて、重厚感あふれる内装となっています。床の間の中で壁に浮いた1枚の飾り棚が大きな床の間を引き締めています。 腰掛けの高さも低く、畳と面一の床の間もひと繋がりとなり、人が4人座っても丁度良いスケールで、時が経つのを忘れるぐらい落着いてしまいました。 茶室も移築されていて、床の間には梅の古木ががっしりと添えられ、床の間の壁、その横の襖には千鳥のモダンな壁紙が貼られています。 光が千鳥の銀色部分に反射して、壁を浮き上がらせています。 壁は、漆喰ですが、障子の枠との取合いが職人技。又柱をちょうながけしてあり、これが非常にモダンデザインなのです。 遊び心が一杯詰まった住宅でした。 優れた職人技術を要した建物は、デザインや雰囲気も当然豊かですが耐久性も優れていて、ちょっとした修理で又息を吹き返します。 今は、経済性と時間の問題から手の込んだ仕事がどんどん少なくなっています。職人さんが持っている技術を発揮できる機会が少なくなり技術も途絶えて行きます。これは、エコとは逆の方向だとも言えます。それだけに少しでも時間のかかる手仕事を残していく必要性を感じます。

この投稿へのコメント

  1. snow said on 2010年4月9日 at 10:46 AM

    今度京都を訪れた際には、ぜひ太秦の実家(200年以上前の欧州のインテリア)を取材して下さい(No16)。

  2. ひげのひでちゃん said on 2010年4月13日 at 10:37 PM

    是非行かせてもらいます。
    新しいけれども感動が少ない建物を10個見るより、感動する建物を1つ見る方が脳にも良いのです。太秦の建築は、じっくり堪能してみたい建物です。