フランス大使館

新しく建築されたフランス大使館です。都心に残された広尾の森を大きく取り込むというコンセプトで、北側に面する森に対しては前面カーテンウォールのガラス開口。南側は、マンションがあるため、コンクリートの壁でプライバシーを確保するという構成。入口ゲートから中に入りますと、ピロティー広場がありその脇のデッキの敷かれた斜路を登って行きます。このプロムナードが素晴らしいのです。片側は、擁壁ですが威圧感を無くし森のイメージとする為に、擬石を積み重ね植栽を施しています。 アプローチは、出来る限り長くしかも自然を感じるものにしたいと常に考えていますが、この斜路を登って行きますと頭の回路がチェンジし、仕事モードに緩やかになっていくのではと思いました。 外観といったものは、ほとんど見えませんが、とにかく森の緑が室内のどこからでも気持ちよく眺められる設計になっています。 ガラスは、海外の特注品で熱の進入を抑えた複層ガラス。手動で開くサッシとコンピューターで制御された換気システムが外装カーテンウォールの中に上手く組み込まれています。 ガラス以外の部分は、コンクリートのPC版で、ただのコンクリート打ち放しではなく、もう少し柔らかさを出す為に、黒と白の花崗岩、大理石を埋め込んでいます。工場で造るコンクリートパネルですが、石を一つ一つ並べてコンクリートを打ち込んで、そのあと全面を研磨し、埋め込んだ石を表面に出すといったきめ細かい作業でできた外壁です。 目地もコーナーには入れないで、すこし折れ曲がったところに入れています。こうすることで、重厚感がでるのです。 しかし本当に手間のかかる仕事をきちんと納めたいい仕事をしていました。