市川猿之助 スーパー歌舞伎2 ワンピースを見に行きました
歌舞伎は江戸庶民の娯楽ですが、今では伝統芸術として、古典演目が演じられているわけで、現代の庶民がしょっちゅう見に行くという感じではありませんが、このスーパー歌舞伎は、今の時代のストーリーにのっとり演じる歌舞伎でして、そういった意味では歌舞伎の本来の姿かもしれません。しかし、伝統を重んじる歌舞伎界において、新しいものを演じるには相当の苦労と勇気が必要だったことは十分察しられます。しかも今回の演目はワンピース。今や3臆部数を誇るアニメで、海賊の主人公ルフィーとその仲間が世界一のお宝ワンピースを探し求める物語。そもそもアニメを実写化した映画が今結構作られているものの、やはりアニメには勝てないなーという感じをいだいていましたので、それを歌舞伎で演じるとは、どんなものになるのか想像を超えたものでした。
実際見てみると、その演出力には驚かされました。
火が噴いたり、大きな水の滝が現れたり、紙吹雪のなかを人が空中飛行したり、見ている観客を飽きさせません。それでいて歌舞伎の持つ型と、動きがきちんと入り、メッセージ性も強い。規制の殻を完全に破った素晴らしい出来ばえでした。ワンピースの言いたいところは、友情と新しいものへの挑戦、そしてそれを踏み出す勇気ですが、このスーパー歌舞伎自体がその肝を見事に表現している気がします。11月25日まで新橋演舞場にて開演されています。