街並みをつくる長瀬産業大阪本社ビル
大阪四ツ橋筋に面して1928年完成の長瀬産業大阪本店。スクラッチタイルの落ち着いたコンクリート建築でその存在感は今でも十分感じられます。、設計は設楽貞雄。
3階までのアーチ開口部、エントランス上のバルコニーやそれを支える装飾された梁、玄関廻りの石の門型、照明器具等々見るべき要素満載の建物です。その隣の10階建ては1982年竣工で当時竹中工務店にいた永田祐三氏の設計。
当時の長瀬社長の建物に対する愛着は深く、旧館を残しながらその旧館との連続性を大切にされていました。永田さんはその静かで落ち着いた佇まいを求めた意志を汲み取り、見事な建築に仕上げています。
街に対して同じテクスチャーの大きな建築が並ぶことで、ここだけ空気が変わります。古い建物のデザイン要素を現代風に読み取り、咀嚼しながら設計する。これは全く新しい斬新な建物を作るよりも深い読みと設計力が問われる難しい仕事だと思います。
本館は圧倒的に壁の面積が多く開口部が少ない。それだけにどっしりと落ち着いた教会のようなイメージがあります。
旧館と本館との接合部