前川國男 弘前市斎場 黄泉の国と俗世を結ぶ黄泉平坂をイメージした渡り廊下

さて、この斎場の平面図です。 右が火葬棟で、左が待合棟ですが、エントランスホールと一般待合室からは、家族が待機する待合室まで緩やかなスロープの廊下が結んでいます。 この廊下は、黄泉の国と俗世を繋ぐ廊下としてイメージされていて、両側に開けられた大開口からは、川や天をイメージした石の庭を眺めることができます。 エントランス入ってすぐに控える一般待合室 その右側には家族待合室に続くスロープが伸びていきます。 黄泉平坂(よもつひらさか)をイメージした渡り廊下は、床がタイルで貼られ、他のスペースとは異なる結界を表現しています。 スロープの先にある待合室ロビー。ここの床はジュ―タン 待合室ロビーから見た景色 その待合室ロビーの先に待合室ホールが続き、その待合室ホールを囲むようにして和室の家族待合室が配置されています。 待合室ホール 待合室ホールから見た庭 右側に廊下が見えます。 建物の一番奥に配置されている庭が見える待合室。 最後にエントランスまで戻りまして、炉前ホールをみたところです。 建物の配置にあたっては、周辺の自然環境、岩木山への向きを十分配慮しながら計画され、控室や火葬棟の平面計画においても、家族の故人への想いを建物にさりげなく表現するなど、精神的にもきめ細かく熟考された名建築だと思いました。 今日で弘前シリーズは終わりです。まだまだ弘前には名建築が沢山残っており、現役の建物も多いので、次回はもう少し暖かくなった時に訪ねてみたいと思います。