アルヴァ・アアルトの自邸 優しい家具の置かれた暖かいリビング・ダイニング
アルヴァ・アアルトの自邸の平面図です。
玄関を入って右がパブリックであるアアルトのアトリエ。左がエントランスホールを介してつながるプライベートな自邸となっています。
庭側には開口部一杯にリビング・ダイニングが配置され、それに続くように外部のピロティーを利用した屋根付き屋外ダイニングが配置されています。
右側のアトリエとリビングは可動間仕切りでつながりますが、そこに3段床段差を設け、自邸とアトリエが気分的にも少し異なるようなしつらえをしています。
1940年台の住まいの様子
室内にも多くの観葉植物による緑を植えていました。冬の外の白一色の世界に対して室内は暖かく、緑を感じるスペースにしていたことがわかります。
暖かさを感じる佇まいですね。
これは3段ほど床高となっているアトリエからリビングを見たところです。
手前がリビングで、奥がダイニング。リビング左の壁には暖炉があり、暖炉を中心にアアルトの設計によるソファーや椅子、テーブルが並びます。
奥のダイニングとは大きな開口で繋がりますが、ちょうど見える正面のダイニングの壁の素材を変えることで、続きの部屋ですがまた違った雰囲気をそれぞれ楽しめます。
庭側には大きな木製サッシの開口部が設けられていて、自然をできる限り内部に取り込もうとしているかのようです。サッシの下にはお湯が通る暖房機が配置され、窓からのコールドドラフトを防ぎます。
奥のダイニングからの見返し。アトリエとの段差が解ります。アトリエと仕切る扉は壁と同材で、閉めれば木の壁になります。
家具は全体的に低く抑えられていて、重心が低く安定しています。天井からのペンダント照明も非常に低いところまで下ろされています。暖炉とこのペンダント照明が下がる位置が、リビングの中心。
座った目線で見ますと、地面が近くなるので心が落ち着きますよね。これはとても大切な事です。
暖炉廻りはアアルト設計のインテリアでまとめられています。
写真台や、ブックシェルフになる棚。柔らかい有機的な腕はアアルトデザインの特徴
奥のダイニングスペース
扉は、屋外ダイニングに繋がる扉で、その左にはキッチン、廊下と区切る家具が置かれます。ここの一面の壁は、アトリエ側の壁と対をなしますが、木の竪ラインが入るダークブラウンの壁になっています。
大きな開口部の右の扉は、庭と繋がる扉。
いつも外部の自然の中に飛び出せるように庭に対して各スペースに扉が設けられています。外と繋がるという考え方は非常に日本的
木製サッシの太い枠がそのまま額縁となり外の景色を切り取ります。
こんなサッシが私は大好きで、良く設計にも使っています。
廊下、キッチンとダイニングを区切る造り付け家具
廊下からもダイニングからも使えるようなシステム収納
がっしりした枠組みはどこか懐かしさを感じるもの。
ガラスケースの中のスチールの人形は、アアルトのお友達の作品でアアルトの自画像だそうです。アアルトお気に入りの一品だとか。
奥にあるキッチンスペースです。