那須二期倶楽部本館 大谷石の壁が那須岳からの風を受け止める

前々からどうしても行きたくて、でもチャンスが無く、今回ようやく念願かない、那須の二期倶楽部を訪れることができました。二期倶楽部には1986年竣工の本館。1998年竣工の本館増築。そしてスパから始まった東館、コンラン卿が日本で初めて手掛けたコテージ棟と、時代と共に成長してきた二期倶楽部ですが、勿論一番体感したかったのは、建築家渡辺明が設計した本館。全てはここから始まりました。当初本館宿泊6室からスタート。一般には開放しないメンバー制でスタートしたそうです。そのため、設計者は勿論オーナーも全てをかけた建築と言えます。 道路からはその存在がわからない駐車場に入り、車を停めて歩いていくと、大谷石の大きな壁が2枚、迎えてくれます。 大谷石を積んで、その目地には漆喰を盛った、なまこ壁仕上げ。これも那須の冬季の厳しい環境から石を守る仕上げなんです。 大谷石といえば、フランクロイドライトがその加工性のしやすさから帝国ホテルで大々的に用いましたが、水に対して浸食性があり、比較的厳しい環境には弱い石材と思っていました。でも30年の歳月を重ねた大谷石の壁は、しっかりとその存在感を感じさせてくれました。 壁に沿って進み、前に開ける那須の大自然を目にしながら、左を向くと、3枚の大谷石の壁が見えます。 そして、その壁に直角のアプローチを進むと、左手に水盤が見えてきます。 2本の大谷石の厚い壁の間には滝が設けられ、水音が響きます。 大谷石の厚い壁の上にある突起は、しっくいの目地を雨から守る為のもので、機能とデザインが融合されたもの。 2つの壁の向こうに拡がる水盤。そして瓦の屋根。 すっかり感動 この壁と水盤、そして勾配の屋根のとりあわせは、メキシコの建築家ルイス・バラガンが設計したサンクリストパルによく似ていますが、那須の大自然を見事に取り込んだ、造形は見事というより他ありません。 深い軒の出。そのためにできる陰影。水盤に写りこむ外観や空。 すっかり虜になりました。