白井晟一 佐世保 親和銀行本店 石のファサード

佐世保の親和銀行本店第1期・第2期。設計は白井晟一。 親和銀行本店は、3期にわたり増築されていきました。全体計画がまずあって、それを順次建てたのでは無く、 その時その時での要求により、つぎはぎ状態で増築されていきました。 白井晟一は「親和銀行本店」の中で「増築建築の優なるものにハギヤ・ソフィアがある。あやかれるものではないが、私にはあのコンスタンチノーブルの聖堂を瞼にうかべて自ら励まさざるをえなかったし、またこういうフェータルとさえ考えられる変更や増築というかなしい条件も、これを逆手にとって追求していけば、かえって仕事の甲斐をたかめるモチーフとなしうると考えられるようになった。そいて性格もテクスチュアも全く異質な二つの棟をかみあわせるという、私としては精一杯のディアレクティークにゆきついた」と述べています。 石の建物はアーケードの一画に突然現れます。 右が一期で、左奥が二期。 一期では黒い円柱の上に白い大理石の塊が載るような形態。白い大理石(トラバーチン)と書きましたが、大理石が浸食されて、今ではその上に金属板が貼られています。 この写真は完成当時のもの。 黒い円柱に矩形ボリュームが載る形態は、同じ白井晟一の計画案原爆ドームがその根底にあったとも言われています。 一期と二期では白と黒を反転したような感じ。1期の石(金属パネル)は横のラインで解るように、積み上げた感じ。2期の黒い石の目地は縦に意識が行くように貼られており、どっしりした重量感は同じですが、全く異なるデザインで設計されていることが解ります。 こちらは、1期の隣地側境界線側にある階段と時計台。花崗岩で造られたこの部分は、雨による浸食は無く、今も健在。 黒い円筒から見る階段。石の目地を見ると、かなり大きな石の塊が用いられていたことが解ります。石の数段を含めた大きな石の板を段状に切断して現場で組み立てたもの。そのあと、石の段を上から載せています。だから横から見たとき、階段も一つの石の塊として職人が刻んだ力強い感じが味わえるのですね。下部の6段の上に石の壁がありますが、これは後で載せられたもので、竣工時には下からつながる階段でした。 軒天ももちろん大理石が貼られていて、軒天照明も柔らかく掘り込んで設置されています。 最初はこの軒天と同じ白い大理石で外壁が覆われていました。 室内に光を採りいれるスリット下部の詳細 黒い円筒の壁を回り込んで、入口が設けられていました。 こちらは、床面から迫り出したアーケードに面する2期の壁 バンケットホールはもちろん見ることができます。落ち着いた雰囲気の高い天井の格式感漂う内装でした。