中禅寺湖 英国大使館別荘(3) 内と外をつなぐ広縁
日本の建築では、内部と外部を緩やかにつなぐ空間が昔から設けられてきました、自然と共に暮らす生活が日本の気候風土に合致しており、四季を感じながら日々を送る豊かさを皆が持っていたからです。
家に居ながら外を感じる装置として、縁側が付けられました。寒い冬には縁側にカラス戸を設ける。もちろん冬の寒さに対するバッファーゾーンにもなるわけですよね。気持ちの良い日や夏にはフルオープンして風を通す。ほんとうに理にかなった素晴らしい装置です。
日光中禅寺湖の英国大使館別荘は、もともと英国領事館だったアーネスト・サトウが日本に惚れて作った家を英国大使館が買い取ったもの。
アーネスト・サトウは、この縁側空間の気持ち良さを十分に理解していたのだと思います。西洋にはコロニアルスタイルというやはり広縁を建物のまわりにぐるりと回す建築様式がありますが、それを利用してサトウは別荘を建てました。
これが、創建時のプラン。大きな広縁が主室の廻りをぐるりと囲みます。
そして、英国大使館から寄贈されたときのプラン。内部はいろいろと変遷がありますが、気持ち良い広縁は変わっていません。
1階の諸室と広縁
しっかりした奥行がとられた広縁
広縁から中禅寺湖を見た光景。
腰板のついた引き戸をひくことで、内部空間に生まれ変わります。
こちらは2階の広縁。
今は、レストランがあり、広縁を介して広大な景色を眺めることができます。
ソファーが並ぶ広縁
明るい基調のインテリア
紅葉も綺麗でした。