磯崎新 北九州市立美術館(2)2つのアルキャストの筒
磯崎さんが、プリツカー賞をとられたからというわけではないのですが、北九州の建築を見るにつけて、その偉大なる建築家をもう少し勉強してみたいと思いました。沢山の著書を書かれていて、どうも難しすぎてようわからんと思い込んで、なかなか手に取らなかったわけですが、お恥ずかしい話、この年齢になってようやく、じっくりと読めるようになりました。
まず手に取ったのは1979年発行の名著「建築の修辞」
その中にはこの北九州市立美術館や、北九州市立図書館他、磯崎さんの初期の代表作のコンセプト等が細かく記載されています。
今読んでも、その先進性には驚かされるばかりです。是非!
この北九州市立美術館の2つの筒は、丘の上に建つシンボリックな形状として、発想されたもの。
コンクリートの基壇部分は、将来つたや木々に覆われ、大地と一体化し、その上の2つの筒のみが、丘の上に鎮座するというイメージの元、
2つの筒はアルキャストという素材になりました。
丘の上という条件に対しては、ホーヘンベルグの「栄光の宮殿」からのイメージを得、形態としては建物の機能すべてを空中に浮かしたエル・リシツキ―の「空中事務所計画」からのイメージ。そのほか、世界各地の建築からその素形や考え方を習得し、かみ砕き、この建物として表現されています。
その知識の深さにも感銘しながら、改めて建築を見ると、その感動の根源が見つけられて非常に楽しい。