富田屋旅館(現湯豆腐嵯峨野)長く路地のような魅力ある玄関アプローチ 村野藤吾
建築家村野藤吾が設計した旅館富田屋。その富田屋を移築した湯豆腐嵯峨野ですが、今も素晴らしい空間を体感できます。
こちらが、富田屋の玄関部分
この門は、新しいもの。
富田屋では道路に面してこの塀がありました。
玄関は竹格子。
内部に木が植わる庭があることで、拡がりが感じられます。
横に伸びる玄関と中庭との関係性が絶妙です。
内路地の外部側は、壁が途中でとまり、屋根とのスリットから内路地に光が差し込みます。
拡がる中庭
中庭の向こう側は客室
引いて入ると、ちょっとした待合スペース
その反対側が、ずっとまっすぐに伸びるアプローチになります。
一端門から中に入り、そこから屋根の架かる半外部のアプローチ(内路地)を進んで玄関に到る。
玄関まではできる限り距離を取り、そこを歩かせることで、気持ちの変化をもたらす。
茶室の空間を上手く現代建築に転用した見事な設計
手前側に架かる庇の軒天は、リズミカルな竹の桟が入る板貼り
先に進むと、垂れ壁があり、その先の内路地の天井は網代に変わります。
さりげなく仕掛けられる結界
中に中にと進みたくなる内路地空間。網代天井に横から光が差し込みます。
左の待合のベンチも良いですね。上の開いた壁を建てることで、玄関扉を上手く隠します。その高さが良いでしょう?
さりげないところに、憎いばかりのデザインが組み込まれています。
その先の玄関を開けますと、これまたビックリの玄関ホールが来客を迎えてくれます。
内路地からがらりと変わる玄関ホール
床の石も丸い石貼りに変わります。
視界がズバッと抜けるのではなくて、そこにひとつの仕切りを建てることで逆に奥行がでます。