嬉野温泉 大正屋 吉村順三設計の心地よい空間
佐賀県嬉野温泉にある、温泉旅館大正屋。設計は吉村順三。
とにかく心地よい空間が拡がっていました。
大きな吹き抜けとかダイナミックな空間というのは無いのですが、自然と見事に溶け込むデザインは圧巻です。
心地よさの根拠は、ヒューマンスケール感。それは天井の高さであり、視線の抜けであり、自然とのつながり方であり、
力が抜けていく安心感というのがあります。
玄関廻り車寄せ
もっと、低層の和風なイメージを持っていましたが、玄関から見る外観は、中層建築ですし、ボリュームもある直方体の建物でした。以外でした。
ただ、よく見ると、手すりの納まりが唯ものでは無いということが、解ります。途中階に出ている水平庇や、てっぺんの瓦風の屋根庇に見えるデザインも気になります。
そしてエントランス
正面に家紋があり、左にフロント、右がロビーと繋がります。
フロントサイド。
そしてロビーへの視線の抜け
赤いじゅうたんに光が当たり、反射光が白い天井に当たるので、全体的に赤みを帯びたホールになっています。
このあたりの非日常感が良いですよね。
ステップを上がると、右側に空間は開けます。そして連続する窓からは、新緑の美しい緑が目に飛び込んできます。
天井は白いのに、床の赤紫が映り込んで赤紫色の空間になっています。
奥がトップライトになっていて、一番明るい。その明るい場所へと視線が行くように考えられています。
窓際は、天井が一段高くなっていて、その天井には木が使われています。しかも勾配天井
白い天井がそのまま壁まで行くのと、このように材料を変えて、天井を窓方向に下げていくことで、目線が下がり、外の庭へと続いていきます。
見事な設計。
明るいとトップライト部分
目ざわりな柱は無く、軽快なサッシが連続。サッシ枠は隠し、できる限りその存在感を消しています。
この複雑な形を平面図で見ると
この出窓のようなトップライト部分は、梁をはね出して支えています。
玄関方向への見返し
ロビーの奥にある、展示コーナー
ここは、落ち着いたスペースです。