嬉野温泉大正屋(3) 東館 吉村順三の弟子板垣弥也氏の設計の部屋
大正屋は、本館、離れそして東館という構成で、時代と共に増築されてきました。
東館は、吉村順三の弟子でもある板垣弥也氏の設計。
中庭に面する離れとは異なり、市街地の方向に向く配置なので、外部とのつながりがなかなか難しい建物です。
でも、各部屋の間取りには余裕があり、室内の拡がりで、建物の価値を高めています。
玄関部分
長い宙に浮く下足棚があります。そして飾り棚
大きな玄関とそれに続く、広い廊下。正面の地窓は、客間に設けられたもの。
客間方向から廊下を振り返ります。これだけゆったりと玄関廻りのスペースを取ると、客間に入る前に広さを感じます。
豊かな気分にさせてもらえる前室ですね。
そして廊下を挟んだ2つの客間。洗面・お風呂もスペースは大きく、ゆっくりと寛げます。
10畳の客間
正面は、袖の壁が見えない、開口部全部が窓という、明るい造りです。
植栽も、野草的な自然感のある植栽で、見事。
手摺はありますが、可能な限り細く設計された手摺の為、その存在感はほとんど気になりません。
手摺の水平部分もかなり細いのですが、それを支える垂直部材(手摺子)は、さらに細いフラットバー。
和室の縁側の堺の水平方向を強調した欄間デザインをはじめ、細いサッシ枠、縁側の勾配天井、モダンな天井納まり。
どれも勉強になります。
床の間の縁側的空間。
縁側は、幅1350程度ですが、低い椅子が配置されていて、バルコニーには植栽が施されています。
また、天井も勾配天井になっていて、「場」に変化をもたらします。
縁側の部分は絨毯で、和室は畳。その間には障子が組み込まれていて、細い扉を開けると、中から障子が引き出せます。
構造の斜め柱の中に組み込まれた洗面台も、これはこれで上手く納まっていますね。
縁側の照明
廊下側の見返り。
床に間を照らす照明は、床の間下がり壁の中に仕込まれた間接照明。
天井の照明は、和を意識させる和紙模様の造作照明が天井に組み込まれます。
廊下を挟んだもう一つの和室の網代天井。エアコンはもちろん隠ぺいされていて、見えません。
天井の網代と竿縁によるモダンデザインの天井
その床の間
そして余裕のある洗面所
お風呂はヒノキ風呂でした。ここかえらもバルコニーの庭がみえます。
手を抜かない、設計。
1階ならともかくも、このお部屋は、4階だったのですが、バルコニーの植栽により、地上面に居るような安定感があります。
大浴場もある場合、部屋のお風呂にはあまり入りませんが、
今回は、ヒノキ風呂の為、入ってみました。
トイレの壁は一部板張り