白井晟一松濤美術館(2) 玄関からブリッジを渡り、吹抜けの展示室へ至る動線
白井晟一設計の松濤美術館が、建築そのものを美術品として開放する「白井晟一入門」
当初から考えられていた、玄関から展示ホールへと向かう一直線の動線が面白いです。
正面エントランス
玄関
玄関の天井は、光を通す石オニキスをガラスで挟み込んで、光天井としています。
オニキスを介して入る灯りが何とも暗くて、落ち着きます。
そのまま、真っすぐに進むと、青天井の中庭に出ます。
この中庭に架けられたブリッジを渡って、再び内部へ。
扉を開けた先が、吹き抜けの展示室。展示室正面には縦長の開口。
吹抜け展示室です。
工事着工の時の契約図面では、この吹抜けホールにそのまま降りる階段が設計されていました。
当初の図面。地下展示ホールには、この階段から降りるか、内部らせん階段から降りるかになります。
非常に軸が強調されたプラン。
ダイナミックな流れとしては、とても理解しやすい階段なのですが、工事途中で、この吹抜け階段は変更されて中止となります。
この階段は変更されて無くなり、その変わりに展示室を上から眺められるギャラリー回廊が付きます。
敷地の狭い美術館なので、出来る限り展示スペースを取る方向に変えたのと、1階平面上の回遊性を確保するためでしょうか。
こちらが、今の図面
1年半の工事途中での大変更です。
図面を比較しますと、らせん階段の形状も位置も変わっています。
より良きものへの追及が、こうした変更を呼び込むのです。
それにしても、工事施工者は、大変だったと思います。今では、なかなかできませんが、本来最高を求めて
考え抜いて、やはりそちらの方が良いと思い直したならば、何とかして変更していくというのも、必要だと思います。