渋谷松濤美術館 白井晟一入門(5) サロンミューゼ・特別陳列室のある2階展示室

さて、地下の吹き抜けの第一展示室と同じ床面積の2階の展示室です。 展示室というには、地下のものとは全く異なる趣。 松濤美術館 ここは、黒い皮のソファーや、白井晟一デザインの椅子、スタンドが置かれたサロンというにふさわしい空間になっています。 下の階は、絵画や芸術品を見て楽しむ展示空間、この2階は、ソファーに腰かけながら、芸術の事を市民が語りあったり、一人沈黙の中で考え事をする空間。 天井の高さは、3.3m。 この雰囲気は、どこからきているのでしょうか? 吹抜け中庭に面しているので、光はそこから入りますが、今回は、ある程度展示壁面が開口部を塞いでおり、それがかえって落ち着きある暗い展示室を魅力ある空間に設えていました。 壁側は、スリット開口のみ。 松濤美術館 壁はヴェネチアンヴェルヴェットという生地で、色も何とも言えないグレー色。 天井に渡された梁には、今では手に入らないブラジリアンローズウッドが貼られています。 梁は構造というよりは意匠であり、空調も兼ねています。 松濤美術館 床は、ジュータン。 壁と床との接点部分は、床に外壁と同じ韓国産「紅雲石」が磨かれて敷かれています。 物と物の接点にもうひとつ違う素材を入れて、メリハリをつける。美しい納まり。 最近は、フローリングや固い素材がほとんどなんですが、ここに柔らかい感触のジュータンが敷かれているのが良いですね。 松濤美術館 ソファーに腰かけているだけで、気持ちが静かになります。美術館というよりも、邸宅のリビングに腰かけている感じ。 完成当初は、このソファーのコストの高さに関係者は驚かれたようですが、40年経った今でも十分に使えるタフさをもっています。 このサロンで昔、珈琲を飲んだ記憶があります。美術館とサロン喫茶、豊かな空間です。 こちらは、特別陳列室。天井の高さは、2.8m 松濤美術館 大きな空間を2つに分け、その開口部には格子戸も配置。アーチの開口部が美しい。 松濤美術館