村野藤吾設計 日本ルーテル神学大学(現:ルーテル学院大学)(1)板状の重なり合う壁で構成される礼拝堂
三鷹にある日本ルーテル神学大学(現:ルーテル学院大学)を訪問しました。
建築家村野藤吾78歳時の設計 1969年竣工です。
当時は、近代的なガラスと鉄とコンクリートのモダニズムの建築最盛期で、建築界も総じてシャープでモダンなそちらの方向へ舵を取っていた時期です。
そういう時代に、大地に根を生やした土でできたような建築群を多く村野さんは生み出しています。この日本ルーテル神学大学もその代表格。
キャンパスは、広い芝生の庭を前面に、その奥にヒューマンスケールの横に拡がる建物が配されました。
建物は、礼拝堂、本館、ブラウンホール、図書館、学生寮、食堂、研究棟の分棟配置で、それぞれが中庭や巧みな通路を介して繋がります。
外観
左の背の高い建物が礼拝堂。その左がブラウンホール
礼拝堂の外観 板状の壁が立ち並び、その間のスリットから内部に光を採り入れます。
左の曲面壁の部分は、1人で祈る祈りの空間になっています。
大地から生えてくるような納まり
礼拝堂へと入ります。
礼拝堂に入る前には意識を変えるためのバッファーゾーンが設けられていて、そこから中庭の芝の緑が目に飛び込んできます。
手摺の付いたバッファーゾーン
気持ちを落ち着けるための装置
中庭を見る
この部分は、反対側から見るとこのような外観になっています。
そして礼拝堂へ。
建物と手が触る扉の取っ手は、村野さんが特に気をつかって設計したところでもあります。
柔らかい、優しい手触りの木の取っ手
そして内部へ。
天井の低いバッファーゾーンから一機に天井の高い大空間へ。
正面に十字架と祭壇。
対称形かと思いきや、祭壇の左右は非対称な空間です。
左は、吹抜けの空間にパイプオルガン。 天井までの縦長スリット開口から壁に沿って光が注がれます。
正面壁の左に開けられた坪庭が見える開口は、外が見えるという事で、閉塞感を和らげています。
右は、2層になった祈りの空間。
そして正面右奥は、曲面壁で囲まれた祈りの空間です。
天井は民家の梁のように構造が張り巡らせてあります。
そして、天井には円が2つのトップライト